【2024年版】5分で分かる!「CSR活動(企業の社会的責任)」とは

CSR活動(企業の社会的責任)のイメージ

私は長年、大企業でコーポレートブランドの構築に関わってきました。

コーポレートブランディング活動は「企業」そのものを認知してもらい、理解してもらい、好きになってもらい、共感してもらうための活動で、商品やサービス単体のマーケティング活動とは全く違います。

「企業」が好きになってもらうためには、もちろん商品・サービスが第一、そして他にも社員の印象、社長の発言、良好な財務状況(株主にとって)等々、様々な変数が存在します。

CSR活動はそのような変数の1つとして挙げられる「社会貢献活動」であり、様々な先行研究や実務からコーポレートブランドへの良好な関係が論じられています。

この記事では、

CSR活動ってどんな歴史があるんだろう

CSR活動はなぜ日本でこれだけ多くの企業が取り組んでいるのだろう

と思われる方に読んで頂ければ嬉しいです。

同じく括りで語られるCSV活動も記事化しております↓

目次

CSR活動が日本で一気に広まったきっかけについて

CSR活動の広まり
UnsplashMartin Adamsが撮影した写真

CSR(企業の社会的責任)という概念自体は、欧米では早くも1960年頃から議論が始まっており、日本でも1970年代には「企業の社会的責任」という言葉が文献や記事に出て来るなど、決して新しい概念ではありません。

しかしながら、日本でCSR活動(企業の社会的責任)に対する期待が一気に高まり、企業が本格的にCSR(Corporate Social Responsibility)活動を推進し始めたのは2000年代初頭になります。

国内においてCSRという言葉・活動が一気に広まったきっかけは大きく2点あると考えられています。

2000年代の初頭、組織ぐるみでリコール隠しを行った三菱自動車や集団食中毒事件を起こしながらも自己保身的な発言を繰り返した雪印乳業など、消費者の安全性よりも自社の利益を優先するような事件が相次ぎました。

1点目は、これらの大企業による不祥事が頻発した結果、

利益を最優先する企業に対する消費者の目が従来以上に厳しくなったことが挙げられます。

2点目は、急速なグローバル化が進む中、国際連合や国際標準化機構(ISO)を初め、様々な機関が

地球環境問題や貧困問題といった社会課題への対策をあらゆる企業に求めるようになったことです。

CSR活動の本質について

中小企業診断士養成課程ブログ挿入
algedroidによるPixabayからの画像

経済同友会はCSRの本質として、

①社会の持続可能な発展と共に、企業の持続的な価値創造や競争力向上にも結び付くもの

②中核となる取り組みであり、企業の持続的発展に向けた投資

③コンプライアンス(法令・倫理等遵守)以上の自主的な取り組み

という3点を指摘している。

 そして、経済産業省はISOによるCSRマネジメントの規格化に追随する形で「CSRに関する懇談会」を設け、CSRの基本的な考え方として、

①企業の持続的発展をより確かなものとするとともに、社会の健全な発展に寄与することを規定する概念

②理念に留まらず、これを実現するための組織作りを含めた活動の実践

③ステークホルダーとのコミュニケーション等の企業行動

④企業とステークホルダーとの間においてウィンーウィンの関係構築を可能とする広い意味での投資

⑤経営理念や業態によって当然異なり得るものであり、企業の自主的・戦略的取組みが重要な要素、

⑥グローバルな視点

⑦ステークホルダーとの効果的なコミュニケーション、等と幅広く論じている。

また、加賀田(2006)は東洋文化と西洋文化の根本的な価値観の違いに触れながらCSRに対し、

「結局のところ、それを普遍的な概念として規定するのではなく、時間と空間を限定した上で、その時々や社会に応じて必要とされる要素を取り入れて解釈すべき概念であるとも言えよう」と述べています。

加賀田の示した考え方は、CSRという概念自体を固定的なものではなく、時代時代のニーズに合わせた形で柔軟に対応していくべきだという点において、強く事業貢献を意識したマーケティング的色彩が濃いものとも考えられる。

最後に、川村(2004)はCSRについて、

企業と社会の持続可能な発展を図るため、事業の核として位置づけられるものであり、PDCAのプロセスを構築しながら自発的に個々の事業特性を考慮して実践するべきもので、マイナスを最小化し、プラスを最大化するため、ステークホルダーに説明責任を果たしつつ期待や要求にも応えることで社会からの信頼度と受容度を向上させることを目的とする活動、と論じました。

以上のように、様々な団体や有識者がCSRに関する定義づけを行っているが、重大なポイントは

社会貢献活動を行う事そのものが目的ではなく、企業の持続的成長やステークホルダーからの信頼などと紐づけられているという観点では共通している。

CSR活度とフィランソロピー活動との違いについて

中小企業診断士養成課程ブログ挿入
中小企業診断士養成課程ブログ挿入

社会貢献という言葉と同様にCSRと言う単語からは、NPOやNGOに代表される団体が実施する慈善活動(フィランソロピー)が想起される事もあるかと思います。

しかし、企業が行うCSR活動は、自社のパーパスや理念に基づき、社会に良い影響を与える活動を行っているという事実をステークホルダーとのコミュニケーションの材料とし、自社に対する信頼度・好意度・共感度を向上させ、競合他社との間における優位性を築く事も1つの目的としている事。

端的に述べると、CSR活動は他者と差別化し、自社の持続的成長を支えるための投資活動という側面を持つものであることが「(言葉は荒っぽいですが)単なる慈善」である「フィランソロピー」との違いです。

最後に非常によく混同されるCSV活動との違いについては別途記事化しておりますので、気になる方は読んでみてください!


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