仕事や人間関係で疲れた日、「難しい本より、とにかく気持ちよく読める小説が読みたい」と思うことがあります。
理不尽を吹き飛ばす逆転劇。
テンポの良い会話。
読み終えたあとに少し前向きになれる物語。
“スカッとする小説”といっても、その気持ちよさの種類はさまざまです。
このページでは、読後にモヤモヤが残りにくく、「読んでよかった」と感じられる小説を10冊厳選しました。
重すぎる作品は今はしんどい。
でも、軽すぎるだけでは物足りない。
そんな時にちょうどいい、爽快感のある小説たちです。
理不尽を吹き飛ばす痛快小説
空飛ぶタイヤ|池井戸潤|巨大企業に立ち向かう逆転劇
トラックの脱輪事故をきっかけに、責任を押しつけられた中小運送会社の社長が、大企業の隠蔽体質に立ち向かっていく社会派エンタメ小説。
理不尽な圧力、取引先の離反、会社存続の危機――追い詰められていく展開が続くからこそ、少しずつ真実へ近づいていく過程の爽快感が際立ちます。
主人公の「社員と家族を守る」という覚悟が、単なる企業小説では終わらない熱を感じさせます。巨大組織に埋もれそうになりながらも、最後まで諦めずに進む姿には自然と引き込まれるはず。
働くことに疲れた時ほど、“正義が報われる気持ちよさ”を強く感じられる一冊です。
三匹のおっさん|有川浩|悪を懲らしめる痛快エンタメ
定年退職後の“元ちょいワル”3人組が、自警団として町のトラブルに立ち向かう痛快エンタメ小説。
ご近所で起きる小さな事件から、見過ごせない悪まで。個性も得意分野も違う3人のおっさんたちが、本気で悪と対峙していく姿には、勧善懲悪のわかりやすい気持ちよさがあります。
難しいことを考えずに読めるテンポの良さも魅力です。笑えて、ハラハラして、最後にはきちんと晴れやかさが残る。読書のハードルを感じさせないので、疲れている日にも手に取りやすい一冊です。
陽気なギャングが地球を回す|伊坂幸太郎|会話のテンポが気持ちいい爽快小説
暗さや重さとは無縁。読んでいてとにかく楽しい、伊坂幸太郎らしさが詰まったギャング小説です。
登場するのは、スリの達人、嘘を見抜く男、演説の天才、そして体内時計を持つ男。クセの強い4人がチームを組み、巧妙で大胆な銀行強盗に挑みます。
個性派チームが力を合わせて活躍する、アベンジャーズ的な物語が好きな人にはかなり刺さる一冊。会話のテンポ、ユーモア、伏線の気持ちよさがそろっていて、物語は最後まで軽やかに進んでいきます。
痛快さと爽快感に満ちた展開に、読み終えたあと「なんだか元気が出た」と思わせてくれる、スカッとするエンタメ小説です。
テンポが良く、一気読みできる小説
殺し屋がレジにいる|東川篤哉|疲れた日にちょうどいい軽快ミステリー
「すみません」が口癖で、スーパーのレジで生計を立てる52歳の女性が主人公。
平凡で目立たない日々を送っていた彼女は、たった一人の親友をDV夫から救うため、スーパーの常連客である72歳の凄腕殺し屋に弟子入りすることになります。
物騒な設定ながら、物語の芯にあるのは“弱き者が修行を積み、少しずつ強くなっていく”気持ちよさ。映画『ベスト・キッド』のような成長譚としても読める一冊です。
軽快なテンポで読みやすく、最後にはスッキリした爽快感が残る。重すぎないエンタメ小説を探している人におすすめです。
夜は短し歩けよ乙女|森見登美彦|読むだけで気分が浮き上がる青春小説
森見登美彦を代表する、明るくておかしみたっぷりの青春ファンタジー小説。
舞台は京都。黒髪の乙女に恋する「先輩」が、彼女の後をひたすら追いかける一夜の騒動が描かれます。古本市、学園祭、なぞの演劇など、突拍子もない出来事が次々と巻き起こる展開は、まさに森見ワールド全開です。
文学へのオマージュやナンセンスな笑いも盛り込まれ、読んでいるだけで「陽」のエネルギーが満ちてくるような一冊。落ち込んだ時や何も考えたくない時にぴったりの、笑えてスカッとできる小説です。
マリアビートル|伊坂幸太郎|殺し屋たちの駆け引きを軽快に描く傑作
東北新幹線という閉ざされた空間で、殺し屋たちが交錯する伊坂幸太郎の人気作。
アル中の復讐者・木村、皮肉屋の中学生・王子、コンビの殺し屋・蜜柑と檸檬、そして“運の悪い男”七尾。クセの強い人物たちが同じ列車に乗り合わせ、物語は予測不能の方向へ転がっていきます。
スピード感あふれるアクション、軽妙な会話劇、そして痛快などんでん返し。ブラッドピット主演のハリウッド映画『ブレット・トレイン』の原作としても知られ、エンタメ性はシリーズ随一です。
一気読みできる爽快な小説を探している人におすすめです。
読後に晴れやかさが残る小説
本日は、お日柄もよく|原田マハ|言葉の力に元気をもらえる一冊
読むたびに元気とやさしさをもらえる、原田マハの代表作。
主人公は、偶然耳にした結婚式のスピーチに心を打たれ、スピーチライターに弟子入りします。努力と成長を重ねながら、“言葉の力”で人の心を動かす側へと歩んでいく物語です。
作中の「三時間後、涙がとまる。二十四時間後、涙はかわく。二日後、顔を上げている。三日後、歩き出す」という言葉に、救われる人も多いはず。
自己啓発本ではありませんが、スピーチのノウハウも満載。静かに背中を押してくれる、優しくて芯の強い一冊です。
阪急電車|有川浩|人の優しさが静かにつながっていく物語
阪急電車に乗ったことがある人はもちろん、関西にゆかりのある人なら、きっと胸に響く優しい物語です。
舞台は、阪急今津線。各駅ごとに異なる登場人物のドラマが描かれ、車内で交差する人生が少しずつリンクしていきます。
あずき色の車体、落ち着いた内装、どこか懐かしい車内の空気まで伝わってくるようで、読みながら「阪急電車に乗りたい」と思わせてくれる一冊。偶然のすれ違いや小さな気づきが、誰かの人生をそっと変えていく展開に、読後は穏やかな晴れやかさが残ります。
移動時間に読むのにもぴったりな、ほっこり優しい小説です。
舟を編む|三浦しをん|静かな達成感が心に残る名作
一冊の辞書を編みあげていく人々の物語。
地味で目立たない仕事に見えても、その裏には、誰かの役に立つ言葉を届けるための膨大な時間と情熱があります。三浦しをんはその世界を、ユーモアも交えながら丁寧に描いています。
主人公のまっすぐな性格や並外れた集中力、支える仲間たちとの絆や衝突も胸に残るところ。気がつけば、読者自身も辞書づくりの一員になったような没入感があります。
読書が好きな人、言葉に惹かれる人にはたまらない一冊。何かに夢中になれることの尊さと、その姿が持つ静かな美しさをそっと教えてくれる物語です。
スカッとする小説を探している人へ
「スカッとする小説」と聞くと、復讐劇や勧善懲悪をイメージする人もいるかもしれません。
もちろん、復讐劇や勧善懲悪もありますが、実際には、
- 会話のテンポが良い
- モヤモヤを吹き飛ばしてくれる
- 人の優しさに救われる
- 前向きになれる
- 一気読みできる
こうした要素も、“スカッと感”につながっています。
重厚な小説を読む気力がない日でも、テンポの良い物語を一冊読むだけで、心の空気が少し入れ替わることがあります。
次の一冊に迷った時は、ぜひ気になった作品から手に取ってみてください。

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