光の帝国(恩田陸著)

超能力をもつ一族、常野一族を題材にしたこれもまた不思議な物語
哀しくて、すごく優しい短編集です。
私は未読ですが「光の帝国」には続編の短編集もあるようなので長く長く楽しめますね。
不思議で奇妙な短編集が連続してしまいましたが、東京奇譚集とは異なり、
超能力を持つ事という事も楽ではないんだな。

満願(米澤穂信)

不気味で不穏な短編集を読みたければすぐに手にとってください。
『インシテミル』や『儚い羊たちの祝宴』でファンになった著者の短編集。
なんとも言えない気持ちの悪さや違和感の作り方、とても上手。どの短編をとっても(気持ち悪くて)ハズレなしの短編集です。
柘榴(ざくろ)なんてタイトルだけで不気味。

心淋し川(西條奈加著)

貧しくても、慎ましやかに生活を営む人々に焦点を当てた短編集
江戸時代の澱んだ川沿いに住む、貧しい人々の生活をイキイキと描かれています。
決して悲しい話だけではなく、希望を見出せる話が多いのが特徴かな。私は特に
パンチとか刺激はほとんどないですが、そんな短編集もたまには良いですね!

ギフト (原田マハ著)

優しい短編が疎結合したホンワカする1冊
芸術を絡めた作品を紡いだら、右に出る人はいない原田マハさん。
「楽園のカンバス」は私の中ではベストオブベストの1冊です。その原田マハさんの短編集。
※プロポーズにからめたお話が多いかな。
昔、お台場で働いていましたが「コスモス畑」なんてあったっけ??覚えていませんが『コスモス畑を横切って』が特によかった。

チルドレン(伊坂幸太郎著)
伊坂幸太郎さんの小説は疾走感に溢れ、時間が揺さぶられ、個々の話が絶妙に繋がるものが多いですね。当作品は5作からなる連作短編小説。不器用だけど憎めない男「陣内」を中心にストーリーが紡がれます。
最初の「バンク」では、友人と共に銀行で人質になってしまう話(犯人は誰?)。2作目からは家庭裁判所の調査員となってからの話がメインになります。会社の窓口で頭を下げまくっている父親を見てしまい、父親を尊敬できなくなった少年の話が良かったな~。気楽によめてお勧めです。

夜を守る (石田衣良著)

池袋や木更津ではなく上野を舞台にした青春活劇
石田衣良さんと言えば「池袋」ですが、この小説の舞台は山手線で真逆?の「上野」です。
街を守る、その辺りの若者たち。エグさもなく、読後も爽やかになれる短編集。
読みやすさが◎。

あなたの人生の物語(テッドチャン著)

ハリウッドで映画化された短編も収録した短編集
ハリウッド映画「メッセージ」の原作となった「あなたの人生の物語」がone of them として入っています。天へ天へと、上へ上へと塔を造りたどりついた先にまっていたものは??の『バビロン』も良かった。
しかしながら、
少し難しいですよ。でも、テクノロジー等に興味があれば超おすすめ。

日本以外全部沈没(筒井康隆著)

バカバカしさを極めるとこの作品になるのでしょう
何の作品をパロッたでしょうか??これほど分かり易い本はないのではないでしょうか?
日本以外全部沈没はここで終わり?‥でしたが、爺さん達と婆さん達が月へ旅行に行き、宇宙人と宴会を繰り広げる「農協月へ行く」も笑った!
兎に角、バカバカしさの極致、それしか表現できません!

邪馬台国はどこですか(鯨統一郎著)

邪馬台国は確かにそこにあったかもしれない!と思える1冊
ありえないと思うんですけど‥
と思わせる表題作などの短編集。
◆ブッダは悟っていなかった
◆聖徳太子の正体
かなりギリギリの所も攻めていますが、時間つぶしには最高。BARや居酒屋で豆知識として誰からから聞いたら、相当面白いだろうなと感じる話のオンパレード

雪沼とその周辺(堀江敏幸著)

静謐な空気が流れる短編集
タイトル通り、淡々と静かに進む 短編集。
最後の短編の解釈が難しく、評価が分かれるようですが私は面白かった。
永い間、ボウリング場を営んできたオーナー。最後の営業日にやってきた若い男女2人に「ラストゲーム」を提案する話。身体が数センチでも傾いていると気になって仕方がない男の話。
1つ1つの話が深い。

ボッコちゃん(星新一著)

ショートショートの大傑作と言っても誰も文句を言わないでしょう
「世にも奇妙な物語」が好きな方は必読の1冊。
1970年頃の作品なのに2023年現在も全く色あせないショートショートの数々。(たまに「え、もう終わり?」という作品もありますがそれもナイス)
「ボッコちゃん」「おーい、でてこーい」「ねらわれた星」などの名作が次から次へと登場する宝箱のような短編集。
1つの話の2~3ページで終わるので、

李陵・山月記(中島敦著)
中学生ごろから、その格調に惚れこみ、一体何回読んだか分からない作品。人生のゴールが何となく見えてくる中で再読しました。
『臆病な自尊心 尊大な羞恥心 それゆえ切磋琢磨をしなかった怠惰』。私の心を斜め60度位からグサグサと刺してきはるわー。がんばろう。そして、こちらはなんとデビュー作

宵待草夜情(連城三紀彦著)
相当濃いものを1冊ぶっこんでおきます。
サディズム・マゾヒズム・エロティシズム・当時の時代・男と女・玉石混合の色気に満ちたミステリー短編集です。とにかく濃い! 濃厚すぎる。脳みそおかしくなりますが、文章から滲みでてくる覇気と中身もすごい… まいりました。覚悟して世界におはいりくださいませ!

最後に
本日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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