『そして誰もいなくなった』を読んだあと、「似た雰囲気のミステリーをもっと読みたい」と思った方も多いのではないでしょうか。
孤島に集められた10人の男女。
外部との連絡は絶たれ、逃げ場もありません。
そんな極限状況の中で、一人、また一人と命を落としていく。
『そして誰もいなくなった』が今なお読み継がれている理由は、単なる犯人探しだけではなく、「次に死ぬのは誰なのか」「犯人はこの中にいる誰なのか」という疑心暗鬼の恐怖を味わえるからです。
この記事では、そんな『そして誰もいなくなった』の魅力を受け継ぐミステリーを7冊厳選して紹介します。
孤島、館、雪山、地下施設。舞台は異なりますが、
・閉ざされた空間
・一人ずつ減っていく恐怖
・誰も信用できなくなる緊張感
を楽しめる作品ばかりです。
なぜ『そして誰もいなくなった』は今も面白いのか
1939年に発表された『そして誰もいなくなった』は、80年以上経った今も世界中で読み継がれているミステリーの金字塔です。
その魅力は、単なる「犯人当て」にとどまりません。
孤島という閉ざされた空間に集められた10人の男女。外部との連絡手段は絶たれ、逃げ場もありません。そんな状況の中で、一人、また一人と命を落としていきます。
閉鎖空間、連続する事件、少しずつ高まる登場人物たちの不信感。
この記事で紹介する作品は、そんな『そして誰もいなくなった』の魅力を受け継いだミステリーばかりです。
まず読むならこの3冊
どれから読むか迷ったら、まずは次の3冊がおすすめです。
◆十角館の殺人(綾辻行人):『そして誰もいなくなった』の系譜を受け継ぐ日本ミステリーの名作。
◆インシテミル(米澤穂信):閉鎖空間と心理戦を現代的な設定で描いた傑作。
◆ある閉ざされた雪の山荘で(東野圭吾):読みやすさとクローズドサークルの面白さを両立した一冊。
『そして誰もいなくなった』が面白いなら読むべきミステリー7選
十角館の殺人(綾辻行人)|孤島×館×新本格ミステリーの原点
綾辻行人さんのデビュー作であり、日本のミステリー界に大きな衝撃を与えた長編推理小説です。
孤島に建つ奇妙な十角館に集まったのは、お互いを「有名推理作家のニックネーム」で呼び合う大学ミステリー研究会のメンバーたち。外部から切り離された島で、彼らは連続殺人に巻き込まれていきます。孤島、館、限られた登場人物、逃げ場のない状況。『そして誰もいなくなった』が好きな方には、まず間違いなく刺さる構造です。
島と本土の物語が交互に進んでいく構成も中毒性があります。そして終盤の“一行”は、読んできた世界を一気に反転させる強烈な一撃。新本格ミステリーの入口としても、クローズドサークルの代表作としても外せない一冊です。
インシテミル(米澤穂信)|地下施設×ゲーム的な密室劇
「時給11万2千円」の怪しい求人に応募した12人の男女。彼らが連れて行かれたのは、外界と完全に隔絶された地下施設でした。そこで始まるのは、“殺人を前提にした疑似ゲーム”。出口はなく、助けも来ない。参加者たちは極限状態の中で、生き残るための選択を迫られます。
閉ざされた空間に集められた人々が互いを疑い始める構図や見立ては、『そして誰もいなくなった』を思わせます。ただし本作は孤島ではなく地下施設、軽妙な文章と共に現代的な設定が特徴です。
アガサ・クリスティー作品へのオマージュを感じさせながら、閉鎖空間ミステリーの面白さと、人間心理を同時に味わえる一冊です。
そして誰かがいなくなる(下村敦史)|雪に閉ざされた館のミステリー
アイデア豊かな作品で知られる下村敦史さんによるクローズドサークル・ミステリーです。
舞台となるのは、作者自身が実際に建てた家をモデルにした館。そこへ集められたのは、ミステリー作家や評論家、編集者たち。しかし雪によって外部と遮断される中、ホストであるはずの大御所作家が行方不明になります。
雪に閉ざされた空間、館内の図面、秘密の部屋、連続する事件。エピローグまで気を抜けず、一気読みしたくなる一冊です。
ジェリーフィッシュは凍らない(市川憂人)|第26回鮎川哲也賞受賞
雪の山中に不時着した巨大飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。外と断絶された船内は、逃げ場のない密室になります。その閉鎖空間で連続して人が死んでいく一方、地上では刑事たちの捜査が進み、さらに過去の出来事が差し込まれてきます。
物語は三層に分かれながら、少しずつ真相へ。
『そして誰もいなくなった』のように、限られた空間で人が死んでいく緊張感とラストの驚きは格別です。
ある閉ざされた雪の山荘で(東野圭吾)|雪山×山荘のクローズド・サークル
雪深い山荘に集められたのは、劇団のオーディションに合格した若き男女7人。吹雪で外部と遮断され、逃げ道のない空間ができあがります。
その密室で、仲間が次々と姿を消しはじめる。孤島ではなく雪山ですが、『そして誰もいなくなった』に通じる「一人ずついなくなる怖さ」を味わえます。
「芝居なのか、現実の事件なのか」が最後まで分からないのがポイント。最後に明かされる真相が、読者の思い込みをひっくり返します。読みやすさとスピード感も味わえる一冊です。
十戒(夕木春央)|孤島×ルール×現代クローズドサークル
『方舟』でミステリー界に衝撃を与えた夕木春央さんによる、孤島を舞台にしたクローズドサークル・ミステリーです。
物語の舞台は、外部との連絡を絶たれた孤島。登場人物たちは「十戒」と呼ばれる不可解なルールに従わされ、その中には「犯人を探してはならない」という奇妙な制約も含まれています。
孤島というクローズドな環境という設定は、『そして誰もいなくなった』を思わせ、近年を代表する孤島ミステリーの一冊です。
屍人荘の殺人(今村昌弘)|第27回鮎川哲也賞受賞
大学の推理研究会メンバーたちが訪れた山奥の合宿所「屍人荘」。外部との通信が断たれた状況で殺人事件が発生し、登場人物たちは閉ざされた空間の中で真相を追うことになります。
『そして誰もいなくなった』と同様に、逃げ場のない環境で疑心暗鬼が広がっていく構図が魅力。
軽快な会話劇と個性的なキャラクター、そして後半に待ち受ける驚きの展開。古典的な孤島ミステリーとは異なる切り口で、閉鎖空間ミステリーの魅力を味わえる一冊です。
まとめ
『そして誰もいなくなった』から始まったクローズドサークル・ミステリーは、今も多くの作家によって進化を続けています。
もし次の一冊に迷ったら、まずは『十角館の殺人』がおすすめです。
孤島、館、限られた登場人物、そして衝撃の結末。『そして誰もいなくなった』の系譜を受け継ぐ、日本ミステリー屈指の名作です。
また、心理戦を楽しみたいなら『インシテミル』、読みやすさを重視するなら『ある閉ざされた雪の山荘で』もおすすめです。
「犯人は誰なのか」
「次に消えるのは誰なのか」
そんな疑心暗鬼の面白さが好きな方なら、今回紹介した7冊もきっと楽しめるはずです。

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