ミステリー小説の中でも、ラストで物語がひっくり返る「どんでん返し」作品は、中毒性が高いジャンルです。
ラストに「えっ?」「最初からもう一度読み直したい!」ともう一度、違う目線で再読してしまう、そんな体験を味わったことはありませんか?
本記事では、別記事(全て私自身が読了した)「どんでん返しミステリー123選」の中から、とにかくこれだけは読んでほしい10作品を厳選してご紹介します。
どの本も、私自身が実際に読んで「完全にやられた」と唸った傑作ばかり。ミステリー初心者から読み慣れた方まで、必ず満足できる“2度読み確実”なラインナップです!
第1位:葉桜の季節に君を想うということ|歌野晶午|タイトルの意味がラストで分かる、衝撃作
やや暴力的なハードボイルド風に始まる本作は、読み進めるうちに“何かがおかしい”という違和感が募っていきます。
そして迎える終盤、タイトルの意味が明らかになった瞬間、読者の頭に稲妻が走るような衝撃が。これは単なるどんでん返しではなく、“見えていた世界が一瞬で変わる”ミステリーです。
真相を知った後、あなたはきっと最初のページに戻ることになります。私がどんでん返し沼に落ちるきっかけとなった、まさに金字塔。初めて読む人にも、読み慣れた人にも、全力でおすすめしたい一冊です。

第2位:イニシエーション・ラブ|乾くるみ|恋愛青春小説で終わらせない、ある種のホラー小説
純粋な恋愛小説として始まり、男女の切ないすれ違いや青春の甘酸っぱさに心を揺さぶられながら読み進めていると、ラスト数行で“すべてが逆転”します。
2部構成の物語(A面・B面)が何かを暗示し、まるでレコードを裏返すような。軽やかに読める文体と、あおハルの切ない展開が魅力ながら、最後に待ち受ける仕掛けは本格派の読者すらも「えっ、そういうことだったの…?」となると思います。
読者は確実に騙される。シンプルながら鮮烈な“再読必至どんでん返し・ミステリー”として、絶対に外せない名作です。
第3位:ハサミ男|殊能将之|表紙から騙されている?サイコサスペンスの金字塔的どんでん返し
連続殺人犯「ハサミ男」を追う展開は、一見するとよくあるサイコサスペンス。キン肉マンのジャンクマンやクロックタワーのシザーマンが頭に浮かびますね。
ところが物語が進むにつれ、読者が無意識に信じていた思い込み・大前提が音を立てて崩れていきます。詳細は語れません。巧妙すぎる視点のトリックと、ジャンルの枠を超えた構造に、気づいたときは鳥肌必至。
終盤の衝撃はミステリー史に残る名手口。騙されたい読者にとって“格好の餌食”となる一冊です。未読の方はなるべく情報を入れず、まっさらな状態で読むのが正解です。
第4位:六人の嘘つきな大学生|浅倉秋成|1つの内定枠を争う疑心暗鬼バトルと裏の裏のそのまた裏
誰もが憧れるA社、内定をもらえるのは1人だけ。そんな特殊な選考試験を舞台に、大学生たちが表と裏の顔を使い分けて争う異色の就活ミステリーです。
物語は、彼らの“過去”をテーマに進みますが、そこにあるのは単なる青春群像劇ではありません。お互いに嘘をつき、疑い合う中で浮かび上がる「人間の本質」。
そして、明かされる“真実”に、読者は必ず驚かされるはず。決して派手ではないですが、丁寧に構成された伏線と、抜群の読みやすさが光る逸品。現代的テーマに乗ったどんでん返しとして非常に優秀です。こちらも再読しました!
第5位:方舟|夕木春央|トラウマ続出でも読まずにはいられない “閉ざされた空間”のどんでん返し
舞台は山中で偶然見つけた地下建造物。数人の若者たちが中に足を踏み入れたその瞬間から、物語はじわじわと不穏さを増していきます。
謎の建造物に閉じ込められ、徐々にはじまる水没。その密室内で起きた殺人。限られた空間、限られた登場人物、逃げ場のない状況で展開される“究極のクローズド・サークル”。
犯人は誰なのか――そして、なぜこの状況が生まれたのか。緊張感が極限まで高まったその先に待っているのは、読者の視界を一変させ、トラウマ必至のどんでん返し。ラストに仕掛けられた“渾身の一撃”が、あなたの読書体験に深く刻まれるはずです。2022年、多くのミステリーファンの間で話題となった理由が、読めばきっと分かります。
第6位:そして誰もいなくなった|アガサ・クリスティ|“どんでん返し”の原点にして、永遠の傑作
孤島に集められた10人の男女。彼らは1人ずつ殺されていき、やがて本当に「誰もいなくなって」しまう。
何度も「次は誰?」「犯人はどうやって?」と頭を悩ませながら、真相の手がかりは巧みに隠されていてるにも関わらず、気がつけばラスト。そして迎える結末に、思わず言葉を失います。
その構成力と発想は、現代ミステリーに多大な影響を与え、綾辻行人『十角館の殺人』や米澤穂信『インシテミル』など数々の名作の原点とも言える存在。刊行から80年以上が経った今なお、“これを超えるミステリーはあるのか?”と思わせるほどの完成度。すべてのどんでん返しファンにとって、避けては通れないマスターピースです。

第7位:明治断頭台|山田風太郎|歴史×超常×トリック、誰一人として予測不可能な“どんでん返し”
「どんでん返し小説のまとめ記事」には全く登場していないであろうこの作品。しかし、その仕掛けと衝撃度は、一線級の傑作です。
舞台は明治初期。官僚の川路と香月、そして謎のフランス人霊媒師・エスメラルダが、超常現象と陰謀が交錯する事件に巻き込まれていきます。一見バラバラに見える短編形式ですが、物語は少しずつ不穏に、そして驚くべき形でひとつに収束していきます。
登場するのは西郷隆盛、福沢諭吉、山形有朋など実在の偉人たち。これだけ見るとまさにB級歴史エンタメのようですが、ラストは、まさに予想の斜め上。読後には「なぜこの作品がもっと語られないのか」と不思議に思うほどです。
知られざるどんでん返しの名作として、声を大にしておすすめしたい一冊です。

第8位:連続殺人鬼カエル男|中山七里|グロ描写の向こうに待つ、衝撃の“真相”
グロテスクでえぐい描写が満載ですがページをめくる手が止まらないのは、“ただの猟奇事件”で終わらないからです。
マンションに吊るされた異様な遺体。現場に残された「カエル男」の署名。次々と起こる残虐な殺人は、ある法則に従って実行されており、捜査は少しずつ核心に近づいていきます。そしてついに浮かび上がる容疑者。証拠も揃い、自白もある。
しかし、本当の恐怖はここから。そこまで積み上げられた“事実”が、音を立てて崩れ、物語は思いもよらぬ方向へ転がっていきます。読後、あなたは思わず「してやられた」と唸るはず。グロ耐性さえあれば、この衝撃は体験する価値あり。中山七里の手腕が冴え渡る、驚愕のどんでん返しミステリーです。
第9位:最後のトリック|深水黎一郎|読者を“犯人”にする、禁断のメタ・ミステリー
「何を言ってるんだ?」と混乱するかもしれません。でも大丈夫。読み終えたとき、その言葉の意味が痛いほどわかります。
王道の推理ものかと思いきや、このミステリーには、読者さえも逃れられない“罠”が仕掛けられております。どんでん返しにもいろんな形がありますが、これは“発想の勝利”。ミステリーというジャンルの枠を超えて、読者の存在までも物語に取り込んだ、まさに異色の一作。
ミステリーファンなら一度は体験しておきたい、“最後のトリック”がここにあります。
第10位:medium 霊媒探偵城塚翡翠|相沢沙呼|“すべてが伏線”と気づく瞬間がたまらない
“ミステリー5冠”を達成した話題作。霊媒師・城塚翡翠と作家・香月史郎がバディを組み、殺人事件に迫っていきます。が、そんな異色のコンビものかと思いきや、物語は想像を超える展開を見せます。
途中挟まれる“妙に不穏な描写”や、胸の奥に小骨が引っかかるような違和感。読者は確実に足元をすくわれることになるでしょう。
霊能力×ロジックという組み合わせに違和感を覚えたとしても、どうか読んでください。すべては計算され尽くされた仕掛けだったと知ったとき、この作品がなぜ賞を総なめにしたのか、心から納得できるはず。
読み終えたあとは、きっと最初の数章をもう一度読み返したくなる。そんな、“爽快感”と“上質などんでん返し”を兼ね備えた一冊です。

最後に
衝撃的などんでん返しを味わったとき、物語は「読み終わってから始まる」とも言えます。
今回ご紹介した10冊は、どれも「えっ!?」「最初から騙されてた」と想像を大きく裏切る傑作揃いです。
まだ読んだことがない作品があれば、ぜひ手に取ってみてください。
読後、あなたもきっと“もう一度最初から読み返したくなる”はずです。
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▶︎ どんでん返しミステリー小説123選【完全版】
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