爆弾(呉勝浩著)
「連続爆破」に関して、場所と時刻を正確に予言するスズキタゴサク。しかし彼は犯人ではないと言い切ります。取調室でスズキタゴサクと対峙する刑事たち。次から次へと繰り広げられる圧倒的な心理戦。
痺れる一冊で、『このミステリーがすごい! 2023年版』(宝島社)、『ミステリが読みたい! 2023年版』(ハヤカワミステリマガジン2023年1月号)国内篇で2冠を達成!
蛇足ですが、恵比寿駅から徒歩1分、創業60年を超える居酒屋「田吾作」があります。創業60年越えの老舗焼き鳥店。焼き鳥ともつ煮込みが有名です。
革命前夜(須賀しのぶ著)
音楽に魅了され旧東ドイツに留学した主人公。音楽との向き合い方、友人、恋、そしてにわかにせまってくる革命の足音。明るくはないけど暗くはなく 、重厚で、じっくりと楽しみました 。
東欧に特有の色が少なく、空気が薄い描写が個人的には大好きです。そして、帯を書かれた方と同じく「読後は放心状態」に。(作者がミステリーとして位置付けられる事をどう思われるかは不明ですが、ミステリーとしても十二分に楽しめますよ)。スパイは誰だ!
逆転泥棒(藤崎翔著)
藤崎さんの著書はグロさが皆無なことも特徴で爽やかに読み切れるのがGOOD。幼馴染のヨッシーとタケシとマリア。ヨッシーは社会からドロップアウトしコソ泥に、タケシは医者でマリアはそのお嫁さんに。ヨッシーが盗みに入った家が偶然、タケシとマリアの新居だった事で物語が動き始めます!確実に2度読みしてしまう作品。
最高ですかーさいこーです、定説、ポケモンの緑と赤、MD、キョンキョン、あなたに会えてよかった、などなど‥今の30代後半から40代後半にかけてはノスタルジックな気持ちにもなれる作品。白装束のパナウェーブとかもマスコミを騒がせていたな~。
名探偵に薔薇を(城平京著)
不気味なおとぎ話に惹き込まれるような感覚に陥る1冊です。必ず2部までみてくださいという帯にピンときて衝動買いした一冊。完全にやられた。「小人地獄」という「証拠が一切残らない殺人毒物」、同じような毒物を扱った名作ミステリーに赤川次郎さんの『毒』がありますが、どんでん返しレベルはこちらが圧倒的に上。この「毒物」を中心に、めぐる2転3転のミステリー。
この「小人地獄」の作り方が相当えぐいので好みが分かれるとは思いますが、見立て殺人要素もあり、おとぎ話的な要素もあり、2転3転していく展開!そして最後にあきらかになるタイトルの意味。王道の「どんでん返し小説」、未読の方はぜひ。
その女アレックス(ピエール・ルメートル著)
囚われてしまった若い女性。迫りくる犯罪者、こんな場所からどうやって脱出するの??から怒涛の展開。先入観って怖いなと思うと共に、よくもまあこんな「ひっくり返し」を思いつきますね。個人的には最後の最後までひっぱり続けて「どんでん返し」が好きですが、このように畳みかけるような展開も良いですね。
今更知ったのですが、この作品は「悲しみのイレーヌ」の続編であり、全4部作の2作目だそうです。(全く気付かずに読めますのでこの作品からでもOK)
七回死んだ男(西澤 保彦著)
いわゆるタイムリープものです。何者かに殺されてしまった祖父を助けるために、体質(というのか特技というのか)を活かし、何度も何度も同じ日を繰り返しながら祖父が殺されるのを防ごうとする主人公。犯人であろう人物を「殺人」から遠ざけるも、結局別の人に殺されてしまう祖父。
頭がこんがらがりそうになりますがたまにはタイムリープもGOOD!このネタバレは言葉で説明するのが難しいな。
PIT(五十嵐貴久著)
スカッと爽やかなどんでん返し! ですが‥ところどこに最高に気持ち悪くて痛い描写の数々があります。先に同じ五十嵐さんの著作『リカ』を読む事でグロエグ免疫力をアップさせておいてよかったです。心理分析などが好きな方にもおすすめ。
アヒルと鴨のコインロッカー(伊坂幸太郎著)
ラッシュライフ・AX・マリアビートル・777(トリプルセブン)の殺し屋シリーズも最高ですが、どんでん返しに近いという意味でこちらの作品を掲載。
伊坂幸太郎さんならではの軽妙なタッチ、バラバラに見えていたストーリーの繋がり、そして幾つかのサプライズと切ない感じ‥伊坂ワールドを端から端まで楽しめる一冊です。
どんどん橋、落ちた(綾辻行人著)
とんでもない中短編集です。推理小説・ミステリーという分野が生まれてから今日現在まで、数えきれないほどのトリックが生まれてきましたが「このトリックは無い」と断言します。
どれほど必死にトリックを暴こうと思っても(もちろん作中にヒントはあるんですけど)、99.9%見抜く事は無理だと思います。シュールなので読後に書籍を地面へ叩きつけたくなる人(実際にやる人はいないと思います)もいるかも知れません‥新鮮ですよ~、心からお勧めします!とは言いませんが斬新です。
イニシエーションラブ( 乾くるみ著)
ノスタルジックで切ない青春小説、からのどんでん返しが見事!A面とB面、昭和のレコードのように名付けられた2つのストーリーがつづられます。恋愛の苦しさや切なさを描いた青春小説と思い、こんな頃もあったなと同情や共感をしながら読み進めると、最後に風景が一転します。
深く考えず、えぐい場面も少なく、爽やかに読み進められるのも推したいポイント。2度読みが確実、という帯や多くの方々のレビューに偽りなし!
同姓同名(下村淳史著)
登場人物が全員、同姓同名と言う意欲作!その設定の段階で先制点。容疑者、犯人、全て『大山正紀』です。
「大山正紀が大山正紀を殺した」ではじまり、大山正紀という名前で疑われたり嫌な思いをした「大山正紀」が集まった被害者の会が発足、その中には引きこもりの大山正紀から、上位互換の大山正紀まで(笑)混乱しそうなイメージがあるかも知れませんが、そこは作者の力でサクサクと読めます。
グラスホッパー(伊坂幸太郎著)※〇し屋シリーズ1
●し屋4部作(グラスホッパー・AX・777)の記念すべき1作目。このシリーズは覚悟して読み始めないと止まらなくなります。4部作すべてが面白い作品はなかなか無いのではないでしょうか?
妻を殺した男に対して復讐しようとする鈴木は『押し屋』という伝説の●し屋(相手を背後からそっと押して●す技)を追いかける事になります。そこに絡んでくる凄腕の●し屋コンビの『鯨』や『蝉』。そっちの世界のプロ達が複雑に絡み合ってくるストーリと「どんでん返し!」が楽しめます。
マリアビートル(伊坂幸太郎著)※〇し屋シリーズ2
●し屋4部作(グラスホッパー・マリアビートル・AX・777)の第2作目。今回の作品は降りたくても降りられない「新幹線」という閉鎖空間(クローズドシチュエーション)の中で繰り広げられるバトルロワイアル。
■アル中の●し屋『木村』■IQが高く、皮肉で残虐な中学生『王子』■二人組の最強『蜜柑』と『檸檬』、そして!何といっても!運の悪い●し屋「七尾」。それぞれの目的・技・思い色々なものが錯綜しノンストップのエンターテインメント(^▽^)/ さて誰が生き残る?どんでん返し・ミステリー・エンターテイメントと呼ぼうかな。
AX(伊坂幸太郎著)※〇し屋シリーズ3
●し屋4部作(グラスホッパー・マリアビートル・AX・777)の第3作目。
主人公の『兜』は妻に足を向けて寝られない恐妻家でありながら超一流の●し屋。前半のスリリングでドキドキが止まらないスピーディな展開はさすが伊坂幸太郎さん!ですが‥今回に限っては後半にちょっぴり切ない展開も(こんな展開は4部作でAXだけですね)。これも良いんです!
777(トリプルセブン)(伊坂幸太郎著)※〇し屋シリーズ4
文句なく面白い●し屋シリーズの4作目。
マリアビートルにも出てきた七尾(天道虫)が主人公。高級ホテルでものを届けるだけの任務のはずが、次から次へと襲い掛かるトラブル、そして腕利きの●し屋たち。個人的にはモウフとマクラの技(布団のシーツを使った連携暗●術)が好き。吹き矢を使う6人組もめちゃくちゃ強くてえぐい、さて最後に勝ち残るのは誰ですか?
硝子の塔の殺人(知念実希人著)
円錐形をしたガラスの館に集められた探偵、医者、霊能者、作家達 ‥大雪で閉ざされた世界の中でおきる連続殺人、これでもかこれでもと『あるある!』の投下投下(笑)。
最後は全てがひっくり返る斬新なフィナーレ、なんといっても ミステリートリビアの数々が楽しかった!過去の名作ミステリーのオマージュを探すだけでも読む価値あり!
野良犬の値段(百田尚樹著)
放送作家でもある百田尚樹さんの作品。マスコミ経験が長かった事もあり、臨場感が半端ではない一冊です。
この方が「探偵ナイトスクープ」の脚本をされていたとは未だに信じられない‥誘拐されたのは子供でも、女性でも、お金持ちでもないホームレスの方々。面白おかしく書き立てるマスコミにも、捜査を進める警察にも、そしてホームレスたちにも、犯人にもそれぞれの正義ある中でおこる様々などんでん返し!
出版禁止(長江俊和著)
心中は純愛か殺人か?イどんでん返しにハマった勢いで読んだ一冊です。早めに●●●●●には気付きました。が、最後は素直に驚きました。なんかとても疲れる作品ですけどビックリスッキリ。笑
容疑者Xの献身(東野圭吾著)
私にとってはガリレオシリーズのデビュー作品です。家族が「お勧め!」とずっと言ってくるので謎の意地をはって読んでませんでしたが、一気読み。 単なる物理学を使ったトリックものと思っていましたが『情』の要素もありありで大満足。他もトライしてみてます。
六人の嘘つきな大学生( 浅倉秋成著)
裏の裏のそのまた裏、どんでん返しのどんでん返しのどんでん返し!会社に内定できるのは集まった求職者の中で1人だけという、就職活動の頃を思い出すと非常にシビアなシチュエーション。
更にその1人を自分たちで選ぶ事を命じられた六人の大学生が、お互いにはったりをかまし、相手をおとしめ、だんだんとお互いに疑心暗鬼に…どんでん返しに、どんでん返しを重ね、最後には爽やかな気持ちになれる不思議な作品。
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