小説のように感情が大きく揺さぶられるわけではないのに何度も読み返したくなる。
エッセイにはそんな不思議な魔力・魅力があります。
旅先で見た景色、日常の出来事、出会い、人生についての考え方。著者の体験を追いかけているうちに、自分自身の考え方まで少し変わることがあります。
この記事では、年間200冊以上を読む私が実際に読んで面白かったエッセイを厳選しました。自然の美しさに息をのむ作品、思わず吹き出してしまう作品、旅に出たくなる作品まで幅広く紹介します。
【まず読むならこの3冊】
・旅をする木(星野道夫)
・富士日記(武田百合子)
・深夜特急(沢木幸太郎)
自然と人生を見つめるエッセイ
旅をする木(星野道夫)
アラスカに魅せられ、アラスカで生き、アラスカで没したカメラマン星野道夫さんの代表作です。
文章が圧倒的に美しく、静まり返った森や氷河、夜空に広がる星々の情景が目の前に浮かび、ページをめくるたびにアラスカの冷たい空気が流れ込んでくるような感覚になります。
自然の話だけでなく、生と死、人との出会い、運命についての考察も深く、それでいて決して難しくありません。私は何度も読み返していますが、一生手元に置いておきたいと思える数少ないエッセイです。
寒い日に、暖かい毛布にくるまり、ゆっくりと世界に入ってください。
富士日記(武田百合子)
武田泰淳の妻である武田百合子さんが綴った日記文学の傑作です。
家事をする、食事をする、人と会う。書かれているのは本当に何気ない日常ばかり。それなのに不思議と読み始めると止まらないエッセイです。
昭和の空気や季節の移ろいが簡潔に、丁寧に描かれており、読んでいるうちに自分も富士山麓で暮らしているような気持ちになります。派手な展開は一切ありません。静かな時間を味わいたい方には深く刺さる一冊。
本棚に置いて、何度も読み返したくなる。不思議な魅力を持った一冊です。
旅に出たくなるエッセイ
深夜特急(沢木耕太郎)|旅に出たくなる魔法の一冊
言わずと知れた旅エッセイの金字塔。
香港を出発し、乗り合いバスや列車を乗り継ぎながらロンドンへ。異国の街角で出会う人々、安宿で過ごす夜、思い通りにいかない移動。その一つひとつが鮮やかに描かれ、読者も一緒に旅をしているような気持ちになります。
私自身、この本に大きな影響を受けました。シンガポールから陸路で日本を目指そうとしたこともあります。
読むたびに「もう一度どこかへ行きたい」と思わせてくれる、旅好きのバイブルです。
キャラヴァンは進む(沢木耕太郎)
『深夜特急』ファンなら必読の1冊。沢木耕太郎さんが旅や人生について綴ったエッセイ集です。
中でも印象的なのは『深夜特急』誕生の背景やモロッコへの思いを語る部分。旅が単なる移動ではなく、人生そのものと重なっていることが伝わってきます。
冒険譚ではありませんが、『深夜特急』に夢中になった頃の気持ちがよみがえります。
ラオスにいったい何があるというんですか?(村上春樹)
村上春樹さんの紀行エッセイ。
アイスランド、ギリシャ、イタリア、アメリカなど様々な土地を訪れながら、その場所で感じたことが独特の視点で綴られています。小説ほどクセは強くないので、村上作品が苦手な方でも読みやすいと思います。
旅好きにはもちろん、休日にゆっくり読書したい方にもおすすめです。
メガロマニア(恩田陸)
人気作家・恩田陸さんによる旅エッセイ。
マヤ遺跡を訪れ、創作のヒントを探す旅なのですが、とにかく旅の描写が面白くて楽しい。そして、結果として何も見つからなかったというオチまで含めて面白い。
観光ガイドではなく、作家の脳みそフィルターを通して、世界を覗いているような感覚で読めます。
笑って読めるエッセイ
さるのこしかけ(さくらももこ)
笑って読めるエッセイならまずこの一冊。
日常の本当に小さな小さな出来事をここまで面白く書けるのかと驚かされます。
『ちびまる子ちゃん』が好きな方にはもちろん、ちびまる子ちゃんを見たことが無い方でも間違いなく楽しめますし、読後には優しい気持ちが残ります。
僕に踏まれた町と僕が踏まれた町(中島らも)
中島らもさんの青春時代を綴ったエッセイ。
灘中・灘高時代のエピソードを中心に描かれています。日本では誰も知らない人がいないくらいの超名門学校でありスーパーエリート街道。にもかかわらず、とにかく自由で破天荒。
笑いながら読めるのに、どこか切なさも残る不思議な一冊です。
「あのときやっときゃ良かった」という後悔は、実際にはやれる可能性などなかったのだからソク忘れよう
全国のおっさん達の人生訓を集めた異色のエッセイ。
居酒屋でくだをまくおっさん達のためになるのかならないのか分からないくだらない話の数々。その中に妙に納得してしまう言葉が混ざっていて笑えます。
出張先の居酒屋で隣のおじさんの話を聞いているような気軽さが魅力です。
尖った感性に触れるエッセイ
すべての男は消耗品である(村上龍)
村上龍さんの尖った感性が全開の一冊。
過激で下品でとにかく破天荒。それなのに妙に説得させられます。
好き嫌いは分かれると思いますが、「もてたい男」は読んでおいて良いのではないでしょうか?他の作家では味わえない強烈な読書体験ができます。
【FAQ】
Q. エッセイ初心者におすすめは?
まずは『さるのこしかけ』『旅をする木』『ラオスにいったい何があるというんですか?』がおすすめです。
Q. 心が疲れた時に読みたいエッセイは?
『旅をする木』『富士日記』』がおすすめです。
Q. 笑えるエッセイを読みたいです。
『さるのこしかけ』『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』から読んでみてください。
まとめ
エッセイの魅力は、誰かの人生を、誰かのフィルターを通して追体験できることです。
旅先の風景に心を奪われたり、思わず笑ったり、何気ない日常が愛おしく感じられたり。
気になる一冊があれば、ぜひ手に取ってみてください。
小説とは少し違う読書の面白さに出会えるはずです。

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