犯人が明らかになる瞬間「やっぱり!」と思うのか。それとも「そうきたか」と悔しくなるのか。
ミステリー小説の楽しみ方はいくつもありますが、登場人物と同じ情報を手にしながら、自分でも真犯人を考える「犯人当て」は本格ミステリーならではの醍醐味です。
中には、物語の途中で読者に推理を促す「読者への挑戦状」がはさまれる作品や、最後まで犯人の名前そのものを明かさない作品もあります。
この記事では、単に「犯人が意外だった」という作品ではなく、読者自身が手がかりを追い、真犯人を考える面白さを味わえるミステリー小説を5冊選びました。ネタバレはありません。
犯人当てが面白いミステリー小説おすすめ5選
今回選んだのは、次の5冊です。
- 『占星術殺人事件』島田荘司
- 『体育館の殺人』青崎有吾
- 『どちらかが彼女を殺した』東野圭吾
- 『硝子の塔の殺人』知念実希人
- 『十角館の殺人』綾辻行人
正式な「読者への挑戦状」が用意された作品だけに限定せず、作中の手がかりから読者自身が犯人を考えながら楽しめるかを基準に選んでいます。
占星術殺人事件(島田荘司)|読者への挑戦状に真正面から向き合える本格ミステリー
昭和の初期、画家がアトリエで殺され、「六人の女性の肉体を占星術に従って組み合わせ、究極の美女〈アゾート〉を創る」という異様な手記が発見されます。やがて女性たちの遺体が全国各地で見つかりますが、事件は40年以上も未解決のまま。名探偵・御手洗潔と石岡が、残された手記や暗号をもとに真相へ迫ります。
最大の魅力は、読者にも必要な手がかりが示されること。著者から「犯人を当てられるか」と真正面から勝負を挑まれる、本格ミステリーの醍醐味を味わえる一冊です。複雑そうに見える事件の全貌が明らかになった瞬間の驚きは強烈。犯人当てに本気で挑みたい人なら、まず読んでほしい名作です。
体育館の殺人(青崎有吾)|論理だけで犯人を追い詰める快感が味わえる作品
風ヶ丘高校の旧体育館で、放送部の男子生徒が刺殺されます。外は激しい雨。体育館は密室状態で、その場にいた女子卓球部の部長に疑いが向けられます。彼女の無実を信じる柚乃は、学校内に住み着く変わり者の天才・裏染天馬に事件の解明を依頼します。
派手な仕掛けで驚かせるというより、残された手がかりや証言を一つずつ積み上げ、論理だけで犯人を絞り込んでいくタイプの本格ミステリーです。途中には読者への挑戦状もあり、「名探偵となってと考える時間」も楽しい。学園ものの読みやすさと、ガチガチの犯人当てを両方味わえる一冊です。
どちらかが彼女を殺した(東野圭吾)|犯人の名前が最後まで明かされない名作
妹を殺された兄が、自らの手で犯人を突き止めようとする物語。容疑者はたったふたり。妹の元恋人か、親友か。兄は復讐心を抱えながら独自に調査を進めますが、やがて加賀恭一郎が登場し、冷静かつ論理的な視点から事件を組み立て直していきます。
最大の特徴は、最後まで犯人の名前が明かされないこと。読者自身が、文章の中に残された手がかりから「どちらが殺したのか」を導き出さなければなりません。伏線はきちんと張られているのですが、私は全く分かりませんでした。読み終えてから答えを確認したくなる、東野圭吾作品の中でも特に“犯人当て”の面白さが際立つ一冊です。
硝子の塔の殺人(知念実希人)|館・密室・推理合戦をモリモリに詰め込んだ一冊
舞台は、雪に閉ざされた山中にそびえる円錐型の「硝子の塔」。探偵、医師、霊能者、小説家など、癖の強い人物たちが集められた塔で連続殺人が起こります。外界と隔絶された空間で、「この中の誰が犯人なのか」を考えながら読み進める王道の館ミステリーです。
過去の名作ミステリーへのオマージュが随所に散りばめられ、密室、推理合戦、さまざまな仕掛けがこれでもかと登場。ミステリー好きほど楽しめる構成になっています。そして終盤、真犯人をめぐる問いそのものが形を変えてくるのが本作の面白さ。犯人当てとどんでん返しを一緒に楽しみたい人におすすめです。
十角館の殺人(綾辻行人)|孤島で起こる連続殺人と衝撃の一行
孤島に建つ奇妙な館「十角館」。そこを訪れたのは、お互いを有名推理作家のニックネームで呼び合う大学ミステリ研のメンバーたち。外界から切り離された島で、一人、また一人と命を落としていきます。一方、本土でも過去の事件をめぐる調査が進み、二つの物語が交互に展開します。
限られた登場人物の中で「犯人は誰なのか」を考えるクローズドサークルの面白さはもちろん、島と本土の情報をどう結びつけるかも読みどころ。終盤の“一行”で、それまで自然に受け入れていた前提がひっくり返ります。「そんなの気づけるわけない」と思いながら、すぐ冒頭を読み返したくなる、新本格ミステリーを代表する一冊です。
犯人当てミステリーは「誰が?」を考えながら読むともっと面白い
どんでん返し小説では、真相が明らかになる瞬間の驚きを楽しむ作品も少なくありません。
一方、今回紹介した5冊は、ただ作者に騙されるだけではなく、「犯人は誰なのか」「この手がかりにはどんな意味があるのか」と自分でも考えながら読めるのが魅力です。
特に『占星術殺人事件』『体育館の殺人』『どちらかが彼女を殺した』は、作者と読者の推理勝負という色が強い作品です。
犯人を当てられればもちろん気持ちいいですが当てられなくても、真相を知ったあとに「確かに書いてあった」と悔しくなるのがそれはそれで犯人当てミステリーの面白さだと思います。
最後に
今回は、犯人当てが面白いミステリー小説を5冊紹介しました。
- 『占星術殺人事件』島田荘司
- 『体育館の殺人』青崎有吾
- 『どちらかが彼女を殺した』東野圭吾
- 『硝子の塔の殺人』知念実希人
- 『十角館の殺人』綾辻行人
どれも「最後に驚く」だけではなく、読者自身が真相を考えながら読める作品です。
犯人を予想してからページを進めると、いつものミステリーとは少し違った緊張感を味わえます。
ぜひ作者からの挑戦を受けるつもりで、真犯人を見破ってみてください。

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