『世界でいちばん透きとおった物語』を読み終え、「こんな仕掛けのある小説をもう一冊読みたい」と思った方へ。
大御所ミステリ作家がのこしたという幻の原稿を探すことになった主人公。謎を追う物語のはずが、最後には「なぜ、この物語がこの『形式』で書かれていたのか」まで含めて驚かされます。
最大の特徴はストーリーだけではなく、紙の本自体に仕掛けが組み込まれていること。読み終えた瞬間、最初へ戻りたくなった方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな『世界でいちばん透きとおった物語』が好きな人におすすめしたい小説を5冊選びました。
単に「最後にどんでん返しがある」というだけではなく、紙の本だから成立する仕掛け、構造や形式、思い込みなど、読者を驚かせる作品を中心に紹介します。
『世界でいちばん透きとおった物語』に似た小説おすすめ5選
『逆転美人』(藤崎翔)|紙の本だから成立する驚きの仕掛け
2018年に小学館文庫から刊行された、藤崎翔によるどんでん返しミステリー。「美人すぎて不幸になった」と語る女性の手記で話が進みますが、“後書き”によって全てがひっくり返ります。
間違いなく「え? どういうこと?」とページを行ったり来たりしてしまうはず。紙の本でなければ成立しない仕掛けが施されており、非常にユニークなどんでん返し小説です。
2度楽しめる読みごたえが詰まった一冊。電子書籍に非対応である理由も、読み終えれば納得するはずです。
『世界でいちばん透きとおった物語』を読んで、物理的な「紙」だからこそできる仕掛けに一番驚いた人には、5冊の中でも特におすすめ。
作品の内容だけではなく、“本という物体そのもの”を利用して読者を驚かせるという点で、最も近い読書体験が味わえる一冊です。
『最後のトリック』(深水黎一郎)|読者自身が巻き込まれる、オンリーワンの読書体験
「犯人は私であり、犯人は今この本を読んでいるあなたです。」
衝撃的な一文から幕を開ける、深水黎一郎の本格ミステリー。2008年に河出書房新社から刊行された本作は、読者を巻き込みながら進む“共犯型”構造が斬新です。
物語を追ううちに、この奇妙な宣言の意味が徐々に明かされ、読了したときには「自分も犯人だ」と思わされるはず。犯人探しの枠を超えた異色のミステリーであり、ラストには「まさかこんなトリックが!」と驚かされる大胆な仕掛けが待っています。
ミステリーの常識を裏切る、まさに“最後のトリック”というタイトルにふさわしい一冊です。
『カササギ殺人事件』(アンソニー・ホロヴィッツ)|物語の中にあるもう一つのミステリー
イギリスの田舎町で起こった殺人事件。その真相を描いた人気作家のミステリー小説を読み進めていた編集者が、ふとした違和感を覚えた瞬間、現実世界でもにも殺人事件が発生。いわゆる“ミステリー・イン・ミステリー”。
本書はアガサ・クリスティを彷彿とさせる本格的などんでん返しミステリーで、2018年に「週刊文春ミステリーベスト10」などで4冠を達成した作品。著者が15年をかけて練り上げたという構成は、伏線の精密さと読後の衝撃に満ちています。
海外ミステリーに不慣れな方にも親しみやすい一冊です。
『世界でいちばん透きとおった物語』でも、主人公が父の遺した小説を探すことから物語が動き出しますが、『カササギ殺人事件』もまた、「本の中にある小説」と「現実」が絡み合う構造が面白さにつながる作品です。
『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ)|読み終えた瞬間、もう一度最初から
2004年に文藝春秋から刊行され、ベストセラーとなった乾くるみの代表作。
物語は恋愛小説として始まり、「A面」と「B面」というレコードのような構成で進行します。
恋のときめきや切なさを追いながら読んでいると、ラストで世界が反転。巧妙な視点のトリックと時系列の入れ替えが、すべての印象を覆します。伏線は冒頭から丁寧に張り巡らされており、読後は思わず最初から読み返したくなる構成が秀逸。
“2度読みしたくなる”という帯の煽りも決して誇張ではなく、読者レビューでも「2回目が本番」という声が多数。どんでん返し小説の定番として今なお読み継がれ、映画化もされた作品です。
『世界でいちばん透きとおった物語』と特に似ているのは、真相を知ったあとに、もう一度同じページを確かめたくなること。「読了した瞬間に再読」というタイプの小説を求めているなら、外せない一冊です。
『ルビンの壺が割れた』(宿野かほる)|「会話だけ」で読者をだます異色作
2017年に新潮文庫から刊行された、会話形式だけで構成された異色のどんでん返し小説。
物語は、SNS上で30年ぶりに再会した元恋人同士のやりとりのみで展開されます。最初は穏やかな会話から始まり、懐かしい思い出や温かい空気が流れますが、やがて言葉の端々に小さな違和感が積み重なっていき。
そしてラスト数行で、それまでの会話がまったく違う意味を持ち始める衝撃の真相が明かされます。
短編で通勤時間や移動中にもぴったり。「会話だけ」で読者をだます作者の力量と、読後の余韻(チョー気持ちいい)が秀逸な一冊です。
『世界でいちばん透きとおった物語』とは仕掛けの種類は異なりますが、共通しているのは、普通の小説とは違う型を使い、最後の驚きにつなげていく点。短時間で読めて、しかも最後に「そういうことだったのか」とびっくりしたい方におすすめです。
『世界でいちばん透きとおった物語』の次に読むなら
今回紹介した5冊は、すべてどんでん返しを楽しめる作品ですが、似ているポイントはそれぞれ少し違います。
紙の本そのものを利用した仕掛けをもう一度味わいたいなら『逆転美人』。
作品のトリックに巻き込まれたいなら『最後のトリック』。
作中作を使った構成を楽しみたいなら『カササギ殺人事件』。
読み終えたあと最初から確認したくなる作品なら『イニシエーション・ラブ』。
新しい型の驚きを求めるなら『ルビンの壺が割れた』。
中でも、「電子書籍ではなく、紙の本で読むことそのものに意味がある」という部分に惹かれた人には、『逆転美人』を最初におすすめします。
まとめ|『世界でいちばん透きとおった物語』に似た小説を読むなら
『世界でいちばん透きとおった物語』に似た小説として、次の5冊を紹介しました。
- 『逆転美人』藤崎翔
- 『最後のトリック』深水黎一郎
- 『カササギ殺人事件』アンソニー・ホロヴィッツ
- 『イニシエーション・ラブ』乾くるみ
- 『ルビンの壺が割れた』宿野かほる
『世界でいちばん透きとおった物語』を読み終えたばかりなら、まずは『逆転美人』から手に取ってみてください。
きっともう一度、「小説って、こんなことができるのか」と驚かされるはずです。

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