この記事では、共感の「うんうん」が続いたり、雑多な日常を忘れて「ドキドキ」できたり、世界の広さや不思議さに「わくわく」を感じる!そんなノンフィクション作品やエッセイを紹介させて頂きます。
「ノンフィクション作品」や「エッセイ」が読みたいけど‥どれが面白いんだろう?
と迷っている方に読んで頂ければ嬉しいです。
旅をする木(星野道夫)
これだけは読んでいただきたい。文章の美しさ・スケール、人生でトップ10に入る書籍です。
出会いは酔った勢いでたまたまAmazonで見つけて頼んだ(記憶なし)‥と言う経緯ですが、この本はぜひ読んで欲しい!
アラスカに魅せられて移住し、最後は熊に襲われて命を落としてしまった星野さんのエッセイです。
まず最初にとにかく文章が美しい、静謐で「シーン」という音まで聞こえてきそうな風景の描写、哲学的なメッセージ。アラスカの仲間に対する奥様の紹介、頼りにしていたパイロットの死、著者が秘密にしている入り江での独りの時間。
悠久の時・空・星・海・氷・山・いきもの 生と死・運命、とにかく最高の一冊です。少なくても私は一生手元に置いておききます。巡り会えた奇跡に心から感謝です。
100点満点の1,000点です。
極北の動物誌(ウィリアム・プルーイット)
大好きな故星野道夫さんが魅了されたこの作品。
カリブーの1年、狩りの王者、ハタネズミの世界、タイガの万人、ムースの民などなど極北世界に住む1つ1つの生命(人間含む)の1年が短編で紡がれます。
それぞれの営みが微妙なバランスを保ちながら1つの生態系を築き上げている、奇跡のような美しさと繋がりに息を飲みます。あ、あの時のオオカミ!などの繋がりも楽しい!
そしてプロローグの後、最初の短編名称が1つ前で紹介した本のタイトルと同じ『旅をする木』。1日1短編ずつ、ゆっくりと時間をかけて旅を楽しみました。

家守綺譚(梨木香歩)
自然・目に見えぬモノとの共生が優しく・優しく描かれた一冊。この作品はこちらに入れて良いのかどうか迷いましたが、Amazonなどではエッセイとされているのでこちらにインさせて頂きます。
「西の魔女」などでとにかく優しい小説が面白い梨木さんが書かれた物語。どうやらご自身を投影し、琵琶湖沿岸の事を書かれているようです。
庭に植えている百日紅の木など自然とのふれあい、やや河童や化け狸や狐などの妖怪・精霊の存在、過去に死んだはずの友達とも自由に話したり、季節の移り変わりもとても美しく、SDGsやサステナビリティというエキセントリックな空気はゼロの癒しのエッセイ。
短編なので寝る前に1章ずつよんでぐっすり眠るのがおすすめです。
キャラヴァンは進む(沢木耕太郎著)
アラブの諺「犬は吠える、がキャラバンは進む」(犬が吠えているのは気になるが、前に進まなければならない)から取られた表題作など、数多くのエッセイが収録されています。
映画評論家の淀川長治さんとの思い出、お子様との日常、オリンピックなどスポーツに対する文章、色々ありますが中でも、やはり「深夜特急」の回顧が最高!
深夜特急のベースとなった旅で「心を残す」経験をしてしまったモロッコへの旅なども!

世にも奇妙な職業案内(ナンシー・リカ・シフ著)
ゴルフホールにある池のダイバー(沈んだボール拾い)、(男性のための)女装学校校長、職業としてのン金庫破り、などなど珍しい職業をただただ紹介した書籍、1-2時間で気楽に読めて面白い!
私のお勧めは「恐竜掃除人」と「ホットドガー(アメリカの職業でホットドック型の車でアメリカを縦断する職業)。 帯には横山剣さん!在庫があれば買いです。

巨流アマゾンを遡れ (高野秀行著)
最後まで明るくて楽しくて悲壮感無し、旅をした気持ちになる一冊です。
私の大好きな冒険家であり作家である高野秀行さんノンフィクション作品。アマゾンの下流域からアマゾンの源流を目指す‥これを聞いただけでワクワクレベルMAXな作品。
私も大阪を流れる淀川を、十三と言う場所から遡ってみたことがあります。
アマゾンと言えば圧倒的秘境感が魅力ですが、中には近代化した町・進出している日本企業・ビジネス化した原住民風の人々まで。現実的で面白い。
川と言っても対岸が見えないくらいの大河、メインは船旅、この船の中でベッドとなるハンモック描写や食事時間の描写が特に好きだな。

メガロマニア(恩田陸著)
恩田陸さんの紀行記。最初から最後までさすがは超人気作家の旅記録、とにかくサクサクと読ませますし、なるほどなという文章もあちあこちらに。特に私は人が持つオーラの理由がしっくりきました。
マヤの遺跡を見れば何か執筆のインスピレーションが沸くだろうと思って始まったこの旅。結果的に何も湧かなかったと言うオチも恩田さんの人間臭さが出てて良かった!とにかく面白い。

友情(山中 伸弥/平尾 誠二/平尾 惠子著)
最後の最後までお互いを信じぬく、男の友情、その熱さに私は号泣しました。
ラグビーの伝説的プレイヤー平尾誠二さんとiPS細胞で有名な山中伸弥さん、一見何の繋がりも無さそうな2人にこんな強い絆があったとは。天才と天才には通じるものがあるんでしょうね。
「先生を信じると決めたんや」この言葉くらいから涙腺がゆるみ始め、「助けられなくてごめん」で崩壊しました。ボス猿になる条件、部下の指導方法など、ビジネスにも応用できる知見もたくさん詰め込まれており、とにかく読んで頂きたい一冊です。

すべての男は消耗品である(村上龍著)
村上龍さんがバリバリに尖っていた時代に書かれたフィクション。令和の今で出版が難しいのではないか?と思うくらい支離滅裂で下品な暴言の数々(褒め言葉)。非常に中毒性のある1冊で、いわゆる「もてる男」はこういう本を読んでいるんだと思いますよ。

西成で生きる(花田庚彦著)
大阪のディープスポット「「西成」に特化したインタビュールポ。大阪の「西成」で生き、そして死んでいく14人に対する渾身のインタビュー。
元ヤクザ、薬の売人、ドヤの管理人、宗教家、ボランティア、中華街をつくろうとする華僑などなど、それはそれは濃い方々が登場します。大阪で生まれ育った私は小さい頃「近づいたらあかん」と言われていたエリア。
様々な理由からそのエリアを愛し、離れられなくなった人たち、パワーがあってなかなか魅力的ですよ。

探検家36歳の憂鬱(角幡唯介著)
チベット最後の秘境であるツアンポー峡谷を突破したガチの冒険家のノンフィクション。
早稲田大学時代の話が笑かしてくれますが、峡谷探検もそうですが雪崩というものの怖さも存分に感じました。何か閉塞感を抱えながら生活をされている方にお勧めさせて頂きたい1冊です。
作品内より帯にも書かれた引用「生のぎりぎりの淵を覗きみても、もっと行けたんじゃないかと思ってしまう」、冒険家としては当然の心理かも知れないですが「死」の誘惑ですね。

地図のない場所で眠りたい(高野秀行&角幡唯介著)
探検家であり作家でもある高野さん・角幡さんの対談本!「探検家36歳の憂鬱」などを書かれた角幡さんと「巨流アマゾンを遡れ」などを書かれた高野さんの夢の対談。
お互いへのライバル意識やリスペクトが見えて、お二人のファンには心底たまらない一冊だと思います。
ファンで無くても、対談集の途中途中に彼らおすすめのエッセイやノンフィクションが数多く掲載されており『至極の一冊』を探されている方にお勧めしたいです!

フェルマーの最終定理(サイモン・シン著)
最初から最後まで数字の美しさに魅了され、数学者の魂に心打たれる作品
復唱になりますが『数』の美しさに魅了されてしまいました。 『謎を解く』というワクワク感も一級品で全ては理解できませんでしたが‥とにかくすごい!
川の直線距離と蛇行した実際距離の比はπに近ずくなど周りに語りたくなるような雑学もあちらこちらに点在しています。フェルマーの謎解きに奮闘する数学者たちの意地、熱い。読書好きの方でじっくりと読みたい方には本気でおすすめします! フェルマーの意地悪さがまたセクシー

モーターサイクル・ダイアリーズ(エルネスト・チェ・ゲバラ著)
あの革命家であるチェ・ゲバラの日記を元に作られたノンフィクション小説。深夜特急や珍夜特急などユーラシア大陸をベースにしたノンフィクションは散見されますが、南米横断のノンフィクション、しかもあのチェ・ゲバラ。
革命家としての像しか浮かばなかった彼の青春が手に取るように伝わってきて何とも胸が熱く、爽快な一冊。親友と共に中古のモータサイクルに乗って南米大陸縦断。お金も無ければ、宿も無く、その場しのぎの旅。若さにしびれる。

ヤノマミ(国分拓著)
衝撃・迫力・臨場感・悲哀、何か色々なものが絡み合って複雑な感情になる超大作。
ブラジルとエクアドルの国境に原住民「ヤノマミ」を長期に渡って取材したノンフィクション小説。NHKのクルーに本当に心から感謝したい作品でした。
シャノボという仕切りのないドーナツ型(直径60メートル)の住居に住む150人を超える集団。男性の一部は何もまとわず、女性も伝統の赤い布を腰に巻くだけ。
人間は精霊となり最後には虫になるという世界観、子供が生まれた後、育てるか否かるかは母親1人が決める風習(否の場合は自ら手を下さい、シロアリの巣に捧げます)。
そんな社会にもヒタヒタと近づいてくる文明の音、徐々に崩れ行く彼等の価値観、とにかく凄かった。これぞノンフィクションの神髄だと思います。
今夜、すべてのバーで(中島らも著)
『ノンフィクション風小説』というジャンルかと思いますが、私の推測ではかなりノンフィクションに近いと考え、ノンフィクション選にリスト化をさせて頂きました。
名門灘中学・高校時代からアルコールに愛し愛され、最後はアルコールに連れていかれてしまった作者。稚拙に表現するなら笑って泣ける、中島らもという人間の退廃的な思考や人生が読む人の心を打つと思います。
アル中患者として入院することになった小島容(作者)。闘病生活の中で次々と起こる珍事件の数々。お酒を飲む人も飲まない人も、読んでみて損は無いと思います。

深夜特急(沢木耕太郎著)
1970~80年代生まれの方ならば、知らない人はいないのではないでしょうか?
香港を出発し、デリーへ、更にはロンドンへ至る旅路をまとめた旅行記。作者の『書く力』が圧倒的で、誰もが旅をしたくなる宝物のような、魔法の様な1冊です。
丁度1990年代に入り、猿岩石というコンビ(今をときめく有吉さん)がヒッチハイクで欧州を目指すという番組がはやりましたがそのベースにもなっているのでは と思っています。
私も尋常ではないほとの影響を受け、(逆ルートですが)シンガポールから日本を目指し、タイで腹痛を起こして飛行機で日本へ帰るという失態を犯しました。読む度に新しいチャレンジをしたくなるんだよな。

珍夜特急(クロサワ コウタロウ著)
敢えて並べて出しましたがまず間違いなく「深夜特急(沢木耕太郎著)」をリスペクトして書かれた作品です。
インドのカルカッタからポルトガルまで、ユーラシア大陸の横断記。正直申し上げて舐めていましたが、これはこれですごく面白い。「深夜特急」には無い、明るさと言うのか陽気さが本編から伝わってきます。
あまり何も考えずにコロナビールでも飲みながら!

ラオスにいったい何があるというんですか?(村上春樹著)
村上春樹さんの小説は「クセ」があるので合わない人には取っつきにくいかも知れません。しかしながら、彼のノンフィクションやエッセイは非常に読みやすく、さすがの文章力で魅了されます。
私は、IQ84で初めて面白い!と感じ、そこから読破しました。当ノンフィクションは紀行集になり、世界の様々な場所に行かれた際のお話し。
全ての短編が秀逸ですが、敢えて言うならベスト5!
・緑の苔と温泉のあるところ アイスランド
・懐かしいふたつの島で ミコノス島/スペッツェス島
・もしもタイムマシーンがあったなら ニューヨークのジャズクラブ
・野球と鯨とドーナッツ ボストン2
・白い道と赤いワイン トスカナ(イタリア)

幻獣ムベンベを終え(高野秀幸著)
何も考えず、ただひたすら楽しめるエンターテインメント100%のフィクション、最高です。早稲田大学在籍時の著者が率いる「幻獣ムベンベ」の探索隊がコンゴへ!
幻獣探しはもちろん、登場してくるコンゴの博士、現地のポーターたち、そして高野さんを取り囲む探索隊のユニークな面々。いやー久々に一気に読んでしまったくらいおもろいフィクションでした。
繰り返しますが最高です。

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