今回は「優しい」「癒される」「暖かい気持ちで泣ける」小説をご紹介させて頂きたいと思います。もちろん、全て読了し、厳選したものばかりです。安心して最後まで読んで頂けましたら嬉しいです。
家庭や仕事や‥色々と忙しい日々の中、
読むとホッとする優しい、おすすめの小説はないかな?
最近疲れているな、何か良い本ないかな?
暖かい気持ちで泣ける小説はないかな?
と思われている方に参考にして頂ければ嬉しいです。
私は年間200冊の読書を20年以上つづけていますが、本当に優しい気持ちになれる・ホロッとできる、そんな素敵な小説を順にご紹介させて頂きます。
昨夜のカレー、明日のパン(木皿泉著)
私は2023年に父親を亡くしました、長い長い闘病生活でした。
人が亡くなってしまう事は本当に悲しい、でも残された人たちも間違いなく強くなる!とてもとてもやさしい、再生のお話でした。
「茶碗を買おう。可愛いやつを。重ねた時にバランスがいいやつを」このフレーズもこれからはじまる新生活のワクワク感が表現されていてとても素敵。
「2日目のカレーはめっちゃ美味しいよな!」みたいな話だと思っていた自分をグーで殴りたいです。
天国はまだ遠く(瀬尾まいこ著)
短い中に優しいがぎゅっと 詰まった作品でした。
仕事に恋愛に、日常生活の様々な事に嫌気がさし絶望し、死ぬつもりで訪れた田舎の村(兵庫か京都の日本海側と推測‥天橋立近辺かな)。客など来ない民宿の兄ちゃんや近所の住民たちとの生活により少しずつ取り戻していく自分らしさ。
わかりやすく暖かい一冊でした。
この本に出て来る、魚も野菜も肉も米もうまそー 表紙の絵は主人公の絵かな!
西の魔女が死んだ(梨木香歩著)
小学生から中学生になり、周囲に馴染めず学校へ通えなくなった主人公の「まい」。
学校を離れ、大好きなおばあちゃん(魔女)の元で、 魔女になりたい!と修行を受けます。魔女になるための修行はとにかく全てを「自分で決めること」。まいを見守るおばあちゃんと亡くなったおじいちゃんの姿。少しずつ少しずつ前へ進む主人公。そしてタイトルの通りの出来事。優しい物語。
こういうの泣けるんですよね。
お帰りキネマの神様(原田マハ著)
電車の中で読んで涙止まらず(笑)
70歳を超えても夢をもち前へ進む事の大切さ、家族の大切さ、 友達の大切さ、 色々なことが沁みわたりました。久々にどっぷり物語の世界にインしまた。
ご存知 原田マハさんの『キネマの神様』を山田洋次さんが映画化 その映画にインスパイアされた原田マハさんが再び小説化した作品です! 心が少し疲れた方へぜひぜひに!
月まで三キロ(伊与原新著)
伊与原さんらしく、自然科学の知識をふんだんに注ぎ込みながら、人の心を優しく・優しく包み込んだ6編の短編集です。
著者の伊与原さんは「元気が出る」小説で紹介させて頂いた「八月は銀の雪(伊与原新著)」からの大ファン。
どこにでもいる悩み・苦しむ誰か。その主人公たちに「少しの光が差してくる」短編群です。
食堂で毎日決まった定食を頼む女性、結婚も恋愛もあきらめた女性、中学受験を控えた男の子、元ギタリストの叔父さんの話、全てに絶望した中年男性が主人公の表題作、全部良い!
ギフト(原田マハ著)
芸術を絡めた作品を紡いだら、右に出る人はいない!原田マハさん。プロポーズにからめたお話が多いですがとにかく優しい話のオンパレードでした。
私も前職時代、お台場で働いていた事がありましたが「コスモス畑」なんてあったっけ??
全く覚えていませんが素敵な短編、中でも『コスモス畑を横切って』が特によかった。
生きるぼくら(原田マハ著)
優しい小説「も」、本当に上手。
たまたま、この作品を読んだのが高齢者同士が〇し合う、筒井康隆さんのシニア世代のバトルロワイヤル作品「銀齢の果て」の次だったからかも知れませんが(^▽^)/ とことん優しい気持ちになれました。
引きこもり状態になってしまった男性が、認知症を患う祖母が住む田舎へ行き、少しずつ歩みはじめる物語。
認知症の介護は経験者として・・・本当にのんの一瞬、認知症が嘘のようになる時あるんだよな〜。
ツバキ文具店(小川糸著)
代筆屋が主人公の圧倒的に優しい物語、既に3部作になっているようです。私は「代筆屋」という職業の存在をはじめてこの小説で知りましたので、日本代筆協会さんのHPを以下に紹介させて頂きます。
夫と何が何でもも離縁したい『妻』が書く離婚告知の手紙、小学生が書く大好きな先生へのラブレター、長く付き合ってきた友人に対する絶縁状、
などなど様々な悩みを抱えるお客様の代わりに主人公が代筆し、手紙を出します。代筆を頼みに来た1人1人の背景や思いをしっかりと汲み取り、
小説の中で「実際に書かれた代筆手紙」が紹介されますがこれがまた良い!
亡くなってしまった厳しい祖母と主人公(女性)の確執と後悔、シングルファーザーと可愛い娘さんと主人公の関係性、隣に住む明るくファンキーなおばさんと主人公の関係、個性にあふれ、優しい登場人物達。
ちょっと疲れたなと思われている方へ、圧倒的に優しい小説・泣ける小説として心からおすすめです。
キラキラ共和国 (小川 糸著)
1つ上で記載した「ツバキ文具店」の続編。こちらの作品も本当にあったかくなる1冊でした。
この本を読んだ後、ふらふらと平日の鎌倉を散歩しましたが、のんびりした日の鎌倉の風景とこれほどマッチする作品は無い気がします。
なんといっても父子家庭のキューピーちゃんとお父さんと主人公の関係・何度もうるうる・ほっこりするわ。
木曜日にはココアを(青山美智子著)
陽だまりのような「優しさ」と「繋がり」を味わいたいならこの作品をぜひ!手に取ってください。
とある街のとある小さなカフェからはじまる物語
自分が無意識にした「小さなコト」が、どこかで全く知らない人を助けているかも知れない
と明るい気持ちにさせてくれる1冊です。
1つ1つのすばらしい短編がそれぞれに繋がる繋がる。
1つのお話が終わるたびに、次の主人公は誰になるんだろう?とワクワクが止まらず一気に読んでしまいました。
最終章の「ココア」を読むと、その全てがつながって・優しすぎて涙腺が崩壊(泣いた)しますよ!
2~3時間でさらっと読めますが、強烈な余韻を残してくれます。本当に優しい小説。
かもめ食堂(群ようこ)
バタバタとせわしなく生きるだけが人生じゃないよと教えてくれるような一冊。フィンランドのヘルシンキにある食堂を舞台にした優しいおはなしです。
全く別々の人生を生きてきた登場人物たちがこの食堂をベースに、人生が交錯。たまたま、偶然?なんとなく生きていくってそういう事なのかなと感じます。
この本の読後は、
シナモンロールが食べたいな・森の中に行きたいな・キノコ狩りをしてみたいな・ゆっくりと生きようかな、もっと優しく生きよう、と思いました
ナミヤ雑貨店の奇蹟(東野圭吾著)
とある文具店に逃げ込んだ3人組の泥棒達が主人公の短編集。
そこに「過去」からの「悩み相談手紙」が届きます。その文具店だけが過去と繋がっている事の気づいた三人はとまどいながらも返事の手紙を返していきます。看病とオリンピックのどちらを優先するべきか、ハーモニカの演奏を続けるかどうか、などなど。
悩みに答えていくたびに少しずつ変わっていく3人組と過去の相談者達、そして1つ1つの話や登場人物の繋がりも(^▽^)/ 小さくても泣ける、そんな素敵な軌跡が起こります。
くちびるに歌を(中田英一著)
40代の私は、とにかくノスタルジックな気持ちになりました。
美人の音楽先生が来たから合唱部に入った男子学生達(笑)、合唱コンクールで披露するのは「アンジェラアキ」さんの楽曲。女子学生とのぎこちないやりとり。
誰かに告白するためにドキドキして呼び出したり、呼び出されたり…懐かしい。こう言うほのぼの優しいストーリーに弱くなったな。
阪急電車(有川浩)
阪急電鉄に乗ったことがある人だけではなく、関西人なら必読の優しい本 。おなじみの「阪急電車」をベースにした小説です。
同じ時代に同じ場所で、時間を過ごしている事がとてつもない奇跡に思えてきます。
阪急電車のあずき色の外観、ずんだカラーというのか、ピスタチオカラーと言うのかあの座席のカラー、薄い茶色の内装、車体のイメージとぴったりのフォントカラー、この小説こそは阪急電車の中で読みたい!やっぱり特急レイアウトのある京都線(大阪⇔京都)かな?
舟を編む(三浦しをん)
ひとつの事に徹底的に打ち込む姿、そのストイックな美しさを堪能できます。
辞書をつくる、という一見何ともないようにも思える仕事、そこにかける主人公のひたむきさや「狂気」。それを支える周りの人たち‥自分も辞書作りに関わっているような感覚になります。
読書が好き、言葉が好き、文字が好き、そんな方にはたまらない小説です。
何かに夢中になるという事はこれほどまでに美しいのか、改めて再認識させてもらえる作品です。
キャロリング(有川浩著)
冒頭は、主人公が銃を向けられている絶対絶命の場面から。これを見て、優しい小説なの?と思われる方もいるかと思いますが、家族・恋人・子供との関係、色々な意味で優しい小説なのではないかなと考えます。
タイトルのキャロリング、教会の関係者がクリスマスに周囲の方の玄関でクリスマスソングを歌う活動との事。(イメージができないですが)
ひたすら優しい小説ではなく、ハラハラドキドキもありますが、最後には全ての登場人物が自らの意思で歩き始めるそんな一冊。そう、全てが思い通りにならなくても。
ミラクル(辻仁成著)
こんな小説を書ける辻仁成さんは優しい人だと私は思う。
子供向きかなの本かも知れません。しかし、読みやすくて穏やかな気持ちになれる一冊です。(親をなくした子供が主人公)ラストの 解釈は大きく分かれるみたいです。
「ミラクル」のその瞬間主人公やそのまわりの人たちの気持ちを考えたら‥泣けて、涙がこぼれました。
スロウハイツの神様(辻村深月著)
どんでん返し小説にも入れさせていただきましたが、やさしい・やさしい小説です。
私が過去に読んできた中ではトップを争う「優しいどんでん返し」、脚本家をしている環と、クリエイティブ人材が集まって暮らしているスロウハイツ。今でいうシェアハウスのような感じですね!(多分)
刺激は少ないですが互いを意識しながら、ゆったりとした生活をしていたところ新しい入居者が加わり、少しずつですが関係性が変化していきます。
色々な感情がリマインドされ、寂しさやもの悲しさも覚えますが‥とにかくやさしくて・繊細で・嘘が付けない登場人物たちに癒されます。シェアハウスが一般的な今なら、こう言った仲間との集団生活はたくさんあるんだろうな。
そしてもちろん!それだけでは終わらずミステリー要素が加わり、伏線改修の怒涛の展開!一気読みしました。
とんび(重松清著)
子供ができてから読むと泣けて涙が止まらなくなる一冊です。父親ひとりで子育てに奮闘するヤス!
「本当によくがんばってるな」と心の中でずっと応援していました。 表紙の肩車をしている画像を見ただけで涙が出そう…私は子供に厳しくしてしまい、いつも後悔するんですよね
あかね空(山本一力著)
豆腐職人とその家族を主人公に描かれた小説。とにかく読みやすく、その不器用なキャラクターと人情に涙がにじみ、後味スッキリでジワーと胸が熱く。
この作品はシリーズになっても楽しいだろうな。
家族の絆さえ揺るがなければ、必ずやり直せる!
<あの絵>のまえで(原田マハ著)
さすが原田マハさんというしかない一冊。美術の知識を絡めながら、ほっこりとさせるのが本当にうまく、5つの優しいストーリーからなる短編集です。
おばあちゃんに「小説家」になる姿を見せられず、インターネットのサクラ記事を書いている主人公が、おばあちゃんに似た隣人との交流を経て再び立ち上がる「豊饒」がベストオブベスト。(表紙も「クリムト」の同名作品です)
原田マハさんの本を読むと、とにかくネットで絵を検索してしい、美術が好きになります。
独立記念日(原田マハ著)
24の短編が時に単独で流れ、時には交差しながら流れ、物語が進んで行きます。
全体を通して「優しく・逞しい女性」の独立を描かれています。特に後半!「ひなたを歩こう」から「川面をわたる風」までの畳みかけるようなストーリー展開で私は涙腺が崩壊しました。最後に繋がると、もう一度読み直したくなる一冊です。
明日の記憶(荻原浩著)
若年性認知症を患ってしまった働き盛りの主人公。もの忘れをしている姿を家族や同僚に見せてはいけない、にばれてはいけないという気持ちが痛いほど伝わってきて苦しい。
ある意味では本当に悲しく、怖い小説です。
誰もがなるかもしれない認知症と言う病気、本当に色々な事を考えました。月並みだけど今を生きよう。
夜のピクニック(恩田陸著)
読みながら、「昔に戻りたいという気持ち」と「もう戻りたくない(めんどくさい)」と言う気持ちが錯綜しました。
若い方々には本当に今を大事にしてほしい!自分が中学校・高校の時に同じ事を言われたら「きも」とか「うっさいわ」と言っただろうけど。
赤と青とエスキース(青山美智子著)
留学生レイと現地人ブーを中心に「絵」を軸とした、30年の時空を超える短編集!全てが優しくて、救いに満ちあふれています。
2022年 本屋大賞第2位も納得!泣きたい時だけでなく、本当に面白い小説でした。少し疲れている方、損はしませんのでいかがですか?何回でも読み直したくなる宝物の1冊です。
絶唱(湊かなえ著)
あまり見た事がありませんがトンガ王国を舞台にした短編集。技術を見せつけられるような嫌らしい短編の繋がりではなく、適度におさえた、繋がり方が絶妙です。
「告白」などのイヤミスイメージがとにかく強い「湊かなえ」さん。ミステリーの人と思っていましたが、この本では何度もホロっとさせられてしまいました。上手い。
夏の庭(湯本香樹実著)
人間の「死」というものに純粋な興味を抱く小学6年生の少年3人。近くに住む老人が死ぬ瞬間を見てみようと計画します。
老人の観察をこっそりと続けていた夏のある日、3人は老人に見つかってしまいます。老人の元へと通い続けながら徐々に深まってくるコミュニケーション‥そして訪れるおじいさんの死‥
3人それぞれの旅立ち、泣けた。
八月の銀の雪(伊与原新著)
気分が高まり、熱い気持ちなれる小説では第1位に選んだこの作品!5編からなる「やさしい」短編集です。
社会に疲れた様々な主人公たち、彼等がふとした出会いをきっかけに、少しずつ前を向いて歩き始める話の集合体です。とにかく優しい話が多くて暖かい涙を流すことができる…「泣ける小説」
感動するだけではなく、色々な雑学(例えば、日本では昔、気球爆弾を作り米国本土まで飛ばしていた等)も身に付く一冊です。
文庫も登場!!!
神様からひと言(荻原浩著)
ピシッと筋の通ったエンターテインメント小説。
カスタマーリレーション部門でクレーム対応に追われる主人公と周囲のメンバー、厳しいリーダーを意識するあまり首が曲がらなくなったメンバーなどキャラも、彼等のやりとりも笑えます。
色々な事件が次々と起こりますが、その笑いがギャップとなって泣けます。
会社で何かと理不尽な扱いを受けていたり、上司や同僚や部下から詰められる事が多いなど‥
弱ってるいる方がもしいらっしゃれば超おすすめの一冊です!
博士の愛した数式(小川洋子著)
事故で脳を損傷し、80分しか記憶が持たない『天才数学者』と彼を支えるために来た新しい家政婦である私、そしての阪神ファンの息子ルート君。
記憶が80分しかもたず、いつ会っても初対面の状況、普通の人ならイライラしたり、投げ出したくなるようなシチュエーション。それでも素直に天才数学者を尊敬し、生活を共にする2人と美しい数式に癒しを頂きました。泣けるというよりは良いヒューマンドラマを見た後のような読後感です。
最後に
刺激は少なくても、優しい小説を選ばせて頂きました。
忙しい毎日ですが、少しの時間だけでも「ものがたり」の世界で優しい気持ちになりたいですよね。
本日も最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。