椅子から転げ落ちそうになった「どんでん返し小説」、心臓のバクバクが止まらなかった「ミステリー小説」を真剣に紹介します。あらすじだけではなく、ネタバレにならない程度の感想や特徴も記載。
数百冊読んだ中から、ミステリー初心者のあなたにも、ガチ勢のあたなにも、お勧めの作品を選びました。
「どんでん返し」や「ミステリー」小説が読みたいけど失敗したくない!
「どんでん返し」や「ミステリー」小説は普段読まないけど、読んでみようかな
そんなあなたに読んでほしいです。
方舟( 夕木春央著)
閉所恐怖症の方は絶対に避けてください。2022年にTwitterの読書アカウント界隈で話題になり大絶賛された作品、私も流行りモノに飛びつきましたが想像以上の衝撃でした。
山中で迷う中、発見した謎の地下建造物。入ってみたのは良いものの、水没がはじまり、施設内では殺人事件が発生します。犯人はいったい誰?生き残れるのはいったい誰?最後の一撃!とにかく息が詰まりそうな一冊なので閉所恐怖症の方だけは絶対にNGです。これぞどんでん返しの醍醐味と言える1冊。
十戒(夕木春央著)
こちらもTwitter界隈で2023年夏から話題沸騰した作品。前作『方舟』とは全く異なる条件下でのクローズドシチュエーション。孤立した島の中、「十戒」と言う登場人物達が守るべきルールが定められ(ネタバレになるので言えませんがこれを守らないと全滅してしまう設定)、特に『犯人を探してはならない』というルールが設定されているため、今まで読んだことがないミステリーとなっています。
ロジカルな謎解き‥噂に違わぬどんでん返しでした!読後、講談社のネタバレサイト(読後にIDとパスワードが分かります)のご確認をお忘れなきようお願いします!
公式ネタバレサイトのURL → jikkai.kodansha.co.jp
プラスティック(井上夢人著)
2024年 本屋大賞 超発掘本という帯に誘われて読了しました。
この小説が書かれたのは30年ほど前、フロッピーデスクに保存された54本のファイルを読者は読む事になります。最初は主婦の日記、気が付けば数日が経過していたり、自分の名前で他の人が本を借りていたり、不思議な事が続くと記されます。何とも表現し難い違和感がずっと続く中で「衝撃の事実」が発覚します。続きが気になって、気になって最後まで一気読みでした。秋の夜長にお勧めです。
隣はシリアルキラー(中山七里著)
会社の寮、毎晩のように隣部屋から聞こえる何かを切断したり、袋に詰める不気味な音。無表情で得体の知れない隣人。徐々に精神を蝕まれ、不眠症に陥る主人公。そんな中、周囲では連続猟奇〇人事件が発生します。
冷酷な警察官と暖かい警察官、頼りになる明るい先輩、友達以上の関係である同僚、被害者の両親、そして隣人。サイコパスミステリー的どんでん返し小説、最後まで油断大敵できない作品です。(中山七里さんにしてはグロが弱め、私でも大丈夫でした)
アリアドネの声(井上真偽著)
地下に多層階で造られた巨大な未来型都市。 セレモニーの最中に発生した地震により閉じ込められてしまった「目が見えず、声も出せず、耳も聞こえない」女性。
主人公はドローン技術を駆使し、彼女の救出を試みます。ところどこでひょっとして目が見えているのでは?聞こえているのでは?などの違和感もちりばめられながら物語が進み‥読後感は何かゲームを一つクリアしたような感覚。映画化もしやすそうな作品でした!やや強引さは否めませんがガツンと来るどんでん返しです。
#真相をお話しします(結城信一郎著)
youtuber、リモート飲み会、マッチング系アプリなど、「流行り」を取り入れた5つの短編小説。それぞれの話に、裏の裏が存在するどんでん返し。
第74回日本推理作家協会賞を受賞した「#拡散希望」もなかなかパンチが効いていましたが、個人的にはリモート飲み会の盲点をついた「#三角奸計」が良かった。荻原浩さんの「噂」でどんでん返しにハマった人なら絶対に好きな短編もありますよ。さて真相は?
春にして君を離れ(アガサクリスティ著)
アガサクリスティさんはこういった作風の小説もかかれていたのですね。お勧めです。しかしながら‥読む方によってはかなり怖い作品だと思います。
自分自身も思い当たる事が出てきて、少しばかり辛くなりました…が少し視点を変えて自分を客観的に見つめなおす事ってすごく大切な事ですね。「そういう事だったのか」という意味でどんでん返しと定義させて頂きます。
最後のトリック(深水 黎一郎著)
「犯人は私であり」「犯人は(最後のトリックを自宅や図書館などで読んでいる)あなたです」。わけが分からないと思いますが読後は意味が分かるのですよね。この本を読んだ方は私も共犯者です。
こんなやり方もあるのか!と最後にびっくりしたという意味で当作品も入れさせて頂きます。ミステリーも奥が深い、まさに最後のトリック。
何者(朝井リョウ著)
とにかくとっつきやすい作品!登場人物がとにかく「いるいる!こんな奴」で、行動や発言も「あるある!こんな事」です。私は実際の知り合いを頭に浮かべながら読みました。
就職活動中の5人、真面目一辺倒・意識高い系・とんがってる系・陽キャ・そして主人公は冷静沈着な拓人。モノガタリは拓人の視線で描かれます。こんなやつおるなーとか、そうそうこういう感じよねーとか感情を移入してしまうのですが‥さてどうなる?期待通りのどんでん返しをお楽しみください!
十二人の手紙(井上ひさし著)
冒頭から、ひたすら『手紙』が延々と続きます。個性の強い登場人物達の手紙がエンドレスに続く事で、少しずつ物語が立体的に見えてきます。短編集なのですがとにかく出てくるキャラの1人1人が濃い。
そして、もちろんお待ちかねの大大どんでん返しが。隠れた名作どんでん返しとも言われる当作品、ミステリー好きなら誰かに話したくなること間違いないです!
ファラオの密室(白川尚史著)
第22回、2024年このミステリーがすごい大賞受賞作。今年も凄い作品でした。舞台がエジプトである事と、少しファンジー要素が強いので「癖」は感じますがしっかりと組まれた密室モノです。
ピラミッド内部の密室で忽然と消えたミイラ、一体どうやって外に出たのか、ピラミッドにこっそりと埋め込まれた軟弱な石はどうやって運び込めたのか 等々、次々と襲いかかってくる謎謎謎。どんでん・どんでん・どんでん が楽しい作品。
もう誘拐なんてしない(東川 篤哉著)
かなりレアな青春爽やかミステリーどんでん返し小説です。テンポの良いリズム・ときおり差し込んでくる笑いの要素、深刻を全く感じない気軽な小説。
それでもトリックはかなり精密に計算されていて、なるほど!と思わせます。そして「そうなん!?」というサプライズも。読書スランプの方や読書に目覚めたい方にもおすすめの1冊です。
連続殺人鬼カエル男(中山七里著)
えぐい・ぐろい・おもろいの3点セット、目をそむけたくなるような残酷な描写がかなり出てきますので苦手な方はお気を付けください。
1人目の死体はマンションにつるされた形で発見、そばに「カエル」男のメモ書き(めちゃくちゃ不気味)。そこから、あるルールに沿って残酷な殺人事件が連続します。連続殺人の共通点を発見され、徐々に追いつめられていく犯人。証拠も十分、最終的に自供もする犯人‥ここから本番!ころんころんと話がひっくり返ります。
ルビンの壺が割れた(宿野かほる著)
短編小説と言っても良いくらいの短いどんでん返し。私は会社への2時間くらいで読了しました。SNSを介して、過去の恋人との30年越しのやりとりが最初から最後まで続きます。
お互いの目線で過去の思い出を振り返りながら、なんか良い雰囲気だな~と感じてると、徐々に???が増し増しに。最後に「どかーん」とどんでん返し。時間対効果が高い作品!
仮面山荘殺人事件(東野圭吾著)
妻を事故で亡くした主人公の高之は、義理の父から山荘へ招待されます。そこには義理の母や従姉妹までが勢揃い。そこに強盗3人組が乱入し、山荘で殺人事件が発生します。
犯人はいったい誰?強盗に加担しているのはいったい誰?疑心暗鬼にかられる登場人物達。一件落着からの、どんでん返しはウルトラS級。某有名海外ミステリー作作品をオマージュしたのかな?とも感じました。ぜひ。
監禁(秋吉理香子著)
看護師として忙しく働く主人公の由紀恵、すれ違いの多い夫婦関係ではありますが1人娘である舞衣子を大切に思う気持ちは変わらない旦那と何とか生活しています。
由紀恵が夜勤の日、子供を見てくれているはずの旦那と突如音信が不通に。表題の通り、裏では監禁事件が起きており音信不通になってしまっていました。夜勤が終わり自宅に帰った際にみたものとは?帯の通り「戦慄のサスペンス」であり、どんでん返し!
看守の流儀(城山真一著)
刑務官という職業にフォーカスした作品で、横山秀夫さんがストライクと表現するのは非常に納得です。ヨンピン、Gトレ、レッドゾーン、ガラ売り、お礼参りからなる短編集。それぞれ「業界用語」の様です。重厚で疎結合しながら進むそれぞれのお話し。1つ1つが極上のストーリーですが私は『ガラ売り』で涙腺崩壊。
最後の短編、『お礼参り』で明らかになるどんでん返し‥また1から読みたくなります!横山秀夫さんが帯を描かれていますが読後感は似てるかも。
葉桜の季節にきみを想うということ( 歌野晶午著)
ハードボイルドな展開が続きますが、中盤頃から徐々に感じるなんともいえない違和。タイトルの「葉桜の季節にきみを想う」はどう言う事なんだろう?そろそろ終わってしまう、と感じた時に圧倒的などんでん返し。
決して嫌な気分にはならないのですが、「完全にやられた」と呆然自失状態となりました。ミステリー好きの方でも1位に挙げる方が多いこの作品。どんでん返し小説の初心者からベテランまで、本気でおすすめ!
世界でいちばん透きとおった物語(杉井光著)
『紙媒体』でしか無理などんでん返し vol.2、2023年半ば、Twitter界隈を騒然とさせた一冊。
なんとも不思議な読み心地(違和感)だなと感じながら後半まで行きました。ラストに驚愕、内容もトリックもさることながらこの杉井さんの書く力(文章構成)に脱帽。
読み終わったらわかりますが、透き通ってるんですよね~本当に透き通ってるんですよ。
ある閉ざされた雪の山荘で(東野圭吾著)
タイトルにある通り「雪のペンション」に集合したのはオーディションに合格した役者達(総勢男女7名)。次々と仲間が消えていく中、これは『劇』なのか?と疑問が沸き始めます。一度、疑問を持つと膨らみ続ける疑心暗鬼、殺人事件では??‥と思い始めます。
全員悪者!というフレーズの映画がありましたが、こちらの作品は全員容疑者!な小説です。ラストはもちろんひっくり返る!読みやすくて良かった。
コメント