盤上の向日葵(柚月裕子著)
将棋の棋士が主人公と珍しいミステリー小説。幼い頃から苦労して育ちながらも、人並外れたIQをのおかげで事業は大成功。幼いころから学んだ将棋への情熱をおさえられない主人公「桂介」は、棋士としても大きな成功を収め決戦に臨みます。何の曇りもない完全な現在に見えますが、金をせびりにくる父親の存在が目の上のたんこぶ。
そのネチッこさもあり、最後は不穏な事が起こるんだろうな‥と想像していると斜め上からの衝撃があり、更に最後もいやーな感じです。イヤミス好きな方にお勧めします。
チーム・バチスタの栄光(海堂尊著)
最強の手術チームが手術に失敗。「なぜ」を調べるために真東城大学医学部附属病院の不定愁訴外来担当「田口」と厚生労働省大臣官房秘書課付技官「白鳥」のコンビが調査に当たります。
まさに凸凹コンビながらあの手・この手でチーム関係者を追及、この聞き取りがこの本で痺れる所ですね。そして最後に分かる真実(犯人)は意外な人物が!これだけ売れたのには理由がある、素晴らしいエンターテイメントミステリー小説です。
いけない(道尾秀介著)
どんでん返し系の短編集です。 ある海辺の街(ジョジョの奇妙な冒険が好きな方であれば”もりおうちょう”のような)でおこる複数の怪事件。オチ(どんでん)が『写真』や『メモ』などの画像である事が斬新。 画像解釈が難しいものもありましたが、そういうことかも!。 ちょっとこわめです。
殺戮にいたる病(我孫子武丸著)
我孫子さんにはまるきっかけになった1冊。何冊か読みましたが、安孫子さん作品の中では飛びぬけて「どんでん返し」の衝撃が激しいです。東京の繁華街で連続する残虐な殺人事件。
犯人の名前は蒲生稔‥私は「どんでん返し」と位置付けておりますが、ホラーという方もかなりおります。グロ耐性がある方には全力でお勧めします!(子供には見せられません)
白ゆき姫殺人事件(湊かなえ)
SNS時代を先取りしたような小説で、学生さんや文字を読むのが苦手だな、という方でも楽しめる1冊だと思います。とある会社で美人で有名な社員が惨殺され、その事件を追った記者「赤星」により徐々に事件の全体像が浮かび上がってきます。特に怪しいと思われたのは「普通」の容姿で「普通」の性格をしている女性。
この小説が面白いのは全員が全員少しずつ話を盛ったり削ったり(それは記者の赤星も)している事で少しずつ論点がずれている点でしょうか!
満願(米澤穂信著)
2014年のミステリー年間ランキングで3冠を獲得したこの作品。どんでん返し小説好き・ミステリー小説好きにはたまらない6つの短編集です。タイトルになった満願の言葉、意味は「(神仏にお願いをした結果)願いが叶う事」を指すそうです。(なるほどなるほど納得感あるタイトル)
米澤さんらしい、ブラックユーモア。決して読後感が爽やかではないですが、嫌すぎずグロすぎず丁度いい感じです。もしも、あまりどんでん返し小説を読んだことないのよ~という方がいればぜひ。とにかく1つ目のお話しから最後の最後まで目が離せませんよ!
スロウハイツの神様(辻村深月著)
優しいどんでん返し。最初に、今回小説した「どんでん返し」の中で一番優しい「どんでん返し」です。
脚本家をしている環と、クリエイティブ人材が集まって暮らしているスロウハイツ。今でいうシェアハウスのような感じですね!(多分)刺激は少ないですが互いを意識しながら、ゆったりとした生活をしていたところ新しい入居者が加わり、少しずつですが関係性が変化していきます。
色々な感情がリマインドされ、寂しさも覚えますが‥とにかくやさしくて・繊細で・嘘が付けない登場人物たちに癒されます。シェアハウスが一般的な今なら、こう言った仲間との集団生活はたくさんあるのかな。そしてもちろん!それだけでは終わらずミステリー要素が加わり、伏線改修の怒涛の展開、一気読みしました。
インシテミル(米澤穂信著)
アルバイト誌に載っていた簡単な仕事、それは「科学的実験の被験者」になる事。時給はなんと10万円越え。とんでもない条件に半信半疑ながら集まった12人の男女。とある地下の施設ではじまったアルバイトは‥。
他の参加者を殺せば、更に多額のお金がもらえるデスゲーム&犯人当てゲームでした!あまり何も考えずによめるエンターテインメント小説ですが、アガサクリスティさんへのオマージュもあり、え?という展開もあり最後まで飽きさせませんよ!
向日葵の咲かない夏(道尾秀介著)
たくさんイヤミスを読んできましたが、後味の悪さは一級品。そういう小説が好きな方はたまらない1冊だと思います。ホラーでもあり、ミステリーでもあり、そしてこの記事の主題である一級品のどんでん返し小説でもある。嫌なんだけど忘れられない、それくらい強烈な作品です。
オリエント急行の殺人(アガサクリスティ著)
言わずと知れた名作中の名作。ヨーロッパを走る豪華列車オリエント急行には、身分や出身地が異なる様々な乗客が。その車内で、年老いた富豪が死体で発見されます。
名探偵ポアロが乗客1人1人のアリバイを確認するも、全ての乗客に完璧なアリバイが。最後にポアロが出した真相とは。一度読んでしまえば「はいはい」ですが最初の衝撃は一級品。これありなのか!?の1冊。
ミレニアム「ドラゴン・タトゥーの女」(スティーグ・ラーソン著)
単なるミステリーという枠には収まりきらない社会派小説です。北欧が抱える女性に対する男性の暴力問題や舞台であるスウェーデン社会に対する問題提起も描かれている印象です。(北欧と言う単語を聞くと、なんだかほんわかしたイメージをもってしまいますがイメージが変わりました)
主人公は過去に暴力を受けた経験を持ち、復讐の鬼と化しているリスベット。過去の因縁相手や同様の事件を起こした男を徹底的に追い込んでいきます。さて最後の黒幕は誰??
儚い羊たちの祝宴(米澤穂信著)
先に書きますと、ちょっとグロい‥短編どんでん返し集です。最後の最後にどんでん返し!というのが私の中ではミステリーの醍醐味。
こお「最後の一撃」をフィニッシングストロークと呼ぶと知ったのはこの作品の裏表紙でした。当小説の短編はまさにど真ん中、「ラスト一行」にとにかくこだわりぬいた作品集。こちらも帯のコメントを借りますと収録作すべてがラスト一行でどんでん返しです。最初からネタバレしていても十分楽しめるお話しばかりですよ!
仮面病棟(知念実希人著)
ライトノベルと読んでも良いくらいサックサクに読めるミステリー小説。病院に立てこもったピエロ、人実となってしまった病院の院長、怪我を追った女性、看護婦さんなどなどの登場人物を中心に真の黒幕はいったい誰なのか?結構な数の人が〇されますが、グロい描写などはなく、グロ耐性の弱い私も大丈夫でした!最後はもちろん「お前か!」ですね。
パレード(吉田修一著)
純文学としても読めるし、ミステリーとしても読めるし、そんな不思議な小説です。表面上は仲良く、お互いに良い距離感を保ちながら‥同居生活を過ごす若い男女(ルームシェアですね)。
ここに「よそもの」が入ってきたことで少しずつ、個々人の距離感にズレが生じはじめ、周囲で起こる連続暴行事件ともモノガタリが絡み始め‥ラストに関して解釈は分かれているようですが私は強烈な恐怖を感じました。
望郷(湊かなえ)
6つの短編から構成された小説で、1つ1つの話は「瀬戸内海の島」という事を除き、独立した内容になっています。湊かなえさんといえばイヤミス、それぞれの短編に「イヤ」な感じは散りばめられており、それぞれそうだったの?と言う結末が続きます。(後味は悪くない)
父親が行方不明になった主人公と母親、その母親を目当てに、手土産をもって通ってくることになった「おっさん」。そこまで良くしてくれる本当の目的は?理由は?余韻が残ります。
煙の殺意(泡坂妻夫著)
ミステリー好きの方がベストオブベストに選ぶ事も多いこちらの短編集。「椛山訪雪図」や「赤の追想」などなど甲乙つけがたい8つの短編ミステリーがこれでもかと盛り込まれています。
中でも表題にもなっている「煙の殺意」。デパートで起こった凄惨な火災、小さなアパートで起こった怨恨による〇人事件。2つの事件が同時並行的に発生し、犯人探しが始まります。「想定外の動機」からの「どんでん返し」が楽しめます。
扉は閉ざされたまま(石持浅海著)
コロンボや古畑任三郎の様に、最初から犯人が分かっている形のミステリー小説。学生時代につるんでいた仲間が同窓会を開くことになり、それを「機会」と捉えた1人が殺人を犯します。ここまでは良くある話…とある事情で犯罪の発見を送らせたい犯人は「あの手・この手」で殺害現場の部屋に入るための扉を開けさせません。
徐々に不信感を抱いた仲間の1人と犯人との冷静な心理戦。これが最高に見どころですね。そしてラストは‥そうなるのかい!です。
楽園のカンヴァス(原田マハ著)
美術作品を巡る極上のミステリー。美術に造詣の深い原田マハさんの知識量に圧倒されると共に、絵画や画家自体にも興味が湧いてくる1冊で私中では人生トップ20には入れてます。
本を読みながらWEBでどれだけ絵の事を調べたか。新世界を開いてくれた感謝の一冊。スリリングな展開、アッと驚く仕掛け、ミステリーとしても1級品です!
誘拐の日(チョンヘヨン著)
あまり読んだことが無い、韓国の作家さんによるミステリー小説(韓流小説)。娘の手術代を捻出するため、元妻とタッグを組み大富豪の娘を誘拐する事を企てます。誘拐した同じ日に、自分たち以外の誰かによって大富豪の父母が〇されてしまい。最後の最後まで「うそでしょ」が続く、傑作ミステリーです。映画になった貧しい半地下住民を想像しながら、満足度の極めて高い1冊です。
透明人間は密室に潜む
すごかった 久しぶりに唸りまくったミステリー短編集です。
それぞれのタイトルからオマージュしている作品が浮かびますが、全てが斜め上の遥か上空をいくストーリー! それぞれの短編後についている参考文献まで含めて最高。お勧め 2作品目、笑った!
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