かもめ食堂(群ようこ)
バタバタとせわしなく生きるだけが人生じゃないよと教えてくれるような一冊。フィンランドのヘルシンキにある食堂を舞台にした優しいおはなしです。
全く別々の人生を生きてきた登場人物たちがこの食堂をベースに、人生が交錯。たまたま、偶然?なんとなく生きていくってそういう事なのかなと感じます。読後は、シナモンロールが食べたいな・森の中に行きたいな・キノコ狩りをしてみたいな・ゆっくりと生きようかな、もっと優しく生きよう、と思いました
ナミヤ雑貨店の奇蹟(東野圭吾著)
とある文具店に逃げ込んだ3人組の泥棒達が主人公の短編集。その店に「過去」からの「悩み相談手紙」が届きます。その文具店だけが過去と繋がっている事の気づいた三人はとまどいながらも返事の手紙を返していきます。看病とオリンピックのどちらを優先するべきか、ハーモニカの演奏を続けるかどうか、などなど。
悩みに答えていくたびに少しずつ変わっていく3人組と過去の相談者達、そして1つ1つの話や登場人物の繋がりも(^▽^)/ 小さくても泣ける、そんな素敵な軌跡が起こります。
くちびるに歌を(中田英一著)
40代の私は、とにかくノスタルジックな気持ちになりました。美人の音楽先生が来たから合唱部に入った男子学生達(笑)、合唱コンクールで披露するのは「アンジェラアキ」さんの楽曲。女子学生とのぎこちないやりとり。
誰かに告白するためにドキドキして呼び出したり、呼び出されたり…懐かしい。こう言うほのぼの優しいストーリーに弱くなったな。
阪急電車(有川浩)
阪急電鉄に乗ったことがある人だけではなく、関西人なら必読の優しい本 。おなじみの「阪急電車」をベースにした小説です。同じ時代に同じ場所で、時間を過ごしている事がとてつもない奇跡に思えてきます。
阪急電車のあずき色の外観、ずんだカラーというのか、ピスタチオカラーと言うのかあの座席のカラー、薄い茶色の内装、車体のイメージとぴったりのフォントカラー、この小説こそは阪急電車の中で読みたい!やっぱり特急レイアウトのある京都線(大阪⇔京都)かな?
舟を編む(三浦しをん)
ひとつの事に徹底的に打ち込む姿、そのストイックな美しさを堪能できます。
辞書をつくる、という一見何ともないようにも思える仕事、そこにかける主人公のひたむきさや「狂気」。それを支える周りの人たち‥自分も辞書作りに関わっているような感覚になります。読書が好き、言葉が好き、文字が好き、そんな方にはたまらない小説です。
何かに夢中になるという事はこれほどまでに美しいのか、改めて再認識させてもらえる作品です。
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