キャロリング(有川浩著)
冒頭は、主人公が銃を向けられている絶対絶命の場面から。これを見て、優しい小説なの?と思われる方もいるかと思いますが、家族・恋人・子供との関係、色々な意味で優しい小説なのではないかなと考えます。
タイトルのキャロリング、教会の関係者がクリスマスに周囲の方の玄関でクリスマスソングを歌う活動との事。(イメージができないですが)
ひたすら優しい小説ではなく、ハラハラドキドキもありますが、最後には全ての登場人物が自らの意思で歩き始めるそんな一冊。そう、全てが思い通りにならなくても。
ミラクル(辻仁成著)
こんな小説を書ける辻仁成さんは優しい人だと私は思う。子供向きかなの本かも知れません。しかし、読みやすくて穏やかな気持ちになれる一冊です。(親をなくした子供が主人公)ラストの 解釈は大きく分かれるみたいです。
「ミラクル」のその瞬間主人公やそのまわりの人たちの気持ちを考えたら‥泣けて、涙がこぼれました。登場人物みんな優しい、がとても素敵な小説
スロウハイツの神様(辻村深月著)
どんでん返し小説にも入れさせていただきましたが、やさしい・やさしい小説です。私が過去に読んできた中ではトップを争う「優しいどんでん返し」、脚本家をしている環と、クリエイティブ人材が集まって暮らしているスロウハイツ。今でいうシェアハウスのような感じですね!(多分)
刺激は少ないですが互いを意識しながら、ゆったりとした生活をしていたところ新しい入居者が加わり、少しずつですが関係性が変化していきます。
色々な感情がリマインドされ、寂しさやもの悲しさも覚えますが‥とにかくやさしくて・繊細で・嘘が付けない登場人物たちに癒されます。シェアハウスが一般的な今なら、こう言った仲間との集団生活はたくさんあるんだろうな。そしてもちろん!それだけでは終わらずミステリー要素が加わり、伏線改修の怒涛の展開!一気読みしました。
とんび(重松清著)
子供ができてから読むと泣けて涙が止まらなくなる一冊です。父親ひとりで子育てに奮闘するヤス!幼い息子と差しで向き合う不器用なお父さんの姿に涙
「本当によくがんばってるな」と心の中でずっと応援していました。 表紙の肩車をしている画像を見ただけで涙が出そう…私は子供に厳しくしてしまい、いつも後悔するんですよね
あかね空(山本一力著)
豆腐職人とその家族を主人公に描かれた小説。とにかく読みやすく、その不器用なキャラクターと人情に涙がにじみ、後味スッキリでジワーと胸が熱く。
ほんわかした気持ちになりたい方に気合を入れておすすめします。この作品はシリーズになっても楽しいだろうな。家族の絆さえ揺るがなければ、必ずやり直せる!
椿山課長の七日間(浅田次郎著)
とにかく泣けます、寂しくて切なくて泣けます、ただ「救い」がある話なので安心して読んで頂ければと思います。
家族のため文字通り身を削って仕事に励み、やっとのことで課長に昇進してすぐに過労死した主人公。美女の体を借りて七日間だけ現世に戻れります。そして同じタイミングで現世に戻るのもう1人は小さな子供。2人の
七日間だけの旅が始まります。書いているだけで泣けてきた‥心に響いた。
<あの絵>のまえで(原田マハ著)
さすが原田マハさんというしかない一冊。美術の知識を絡めながら、ほっこりとさせるのが本当にうまく、5つの優しいストーリーからなる短編集です。
おばあちゃんに「小説家」になる姿を見せられず、インターネットのサクラ記事を書いている主人公が、おばあちゃんに似た隣人との交流を経て再び立ち上がる「豊饒」がベストオブベスト。(表紙も「クリムト」の同名作品です)他のお話も電車で読んでるとグッとくるお話のオンパレードですよ
原田マハさんの本を読むと、とにかくネットで絵を検索してしい、美術が好きになります。
独立記念日(原田マハ著)
24の短編が時に単独で流れ、時には交差しながら流れ、物語が進んで行きます。
全体を通して「優しく・逞しい女性」の独立を描かれています。特に後半!「ひなたを歩こう」から「川面をわたる風」までの畳みかけるようなストーリー展開で私は涙腺が崩壊しました。最後に繋がると、もう一度読み直したくなる一冊です。
明日の記憶(荻原浩著)
若年性認知症を患ってしまった働き盛りの主人公。もの忘れをしている姿を家族や同僚に見せてはいけない、にばれてはいけないという気持ちが痛いほど伝わってきて苦しい。
ある意味では本当に悲しく、怖い小説です。最後の最後の『光』がとても優しく、読後もイヤな気持ちにはなりませんので安心。誰もがなるかもしれない認知症と言う病気、本当に色々な事を考えました。月並みだけど今を生きよう。
夜のピクニック(恩田陸著)
読みながら、「昔に戻りたいという気持ち」と「もう戻りたくない(めんどくさい)」と言う気持ちが錯綜しました。なんともセンチメンタルな気持ちになりながら「泣ける小説」です。
若い方々には本当に今を大事にしてほしい!自分が中学校・高校の時に同じ事を言われたら「きも」とか「うっさいわ」と言っただろうけど。
赤と青とエスキース(青山美智子著)
留学生レイと現地人ブーを中心に「絵」を軸とした、30年の時空を超える短編集!全てが優しくて、救いに満ちあふれています。張り巡らせてある伏線がラストに向けて次から次へと回収されていくのも本当に見事!
2022年 本屋大賞第2位も納得!泣きたい時だけでなく、本当に面白い小説でした。少し疲れている方、損はしませんのでいかがですか?何回でも読み直したくなる宝物の1冊です。
絶唱(湊かなえ著)
あまり見た事がありませんがトンガ王国を舞台にした短編集。技術を見せつけられるような嫌らしい短編の繋がりではなく、適度におさえた、繋がり方が絶妙です。
「告白」などのイヤミスイメージがとにかく強い「湊かなえ」さん。ミステリーの人と思っていましたが、この本では何度もホロっとさせられてしまいました。上手い。読後感が非常に良い1冊です!
ランチのアッコちゃん(柚木麻子著)
最初から最後までほっこりさせられ続ける短編集。この本の読後には「しんどくても辛くても、やっぱり一歩前に出ないとダメだな」と思わせてくれて元気が出てきます。
アッコさんの移動デリで提供される「東京ポトフ」はとってお美味しそう!
夏の庭(湯本香樹実著)
人間の「死」というものに純粋な興味を抱く小学6年生の少年3人。近くに住む老人が死ぬ瞬間を見てみようと計画します。老人の観察をこっそりと続けていた夏のある日、3人は老人に見つかってしまい‥。
老人の元へと通い続けながら徐々に深まってくるコミュニケーション‥そして訪れるおじいさんの死‥3人それぞれの旅立ち、泣けた。※子供の課題図書をこっそり読んで泣いた 40代の父です。
八月の銀の雪(伊与原新著)
気分が高まり、熱い気持ちなれる小説では第1位に選んだこの作品!5編からなる「やさしい」短編集です。
社会に疲れた様々な主人公たち、彼等がふとした出会いをきっかけに、少しずつ前を向いて歩き始める話の集合体です。とにかく優しい話が多くて暖かい涙を流すことができる…「泣ける小説」
感動するだけではなく、色々な雑学(例えば、日本では昔、気球爆弾を作り米国本土まで飛ばしていた等)も身に付く一冊です。通勤時の車内で1日1短編など、いかがでしょうか!文庫が登場!!!
神様からひと言(荻原浩著)
ピシッと筋の通ったエンターテインメント小説。カスタマーリレーション部門でクレーム対応に追われる主人公と周囲のメンバー、厳しいリーダーを意識するあまり首が曲がらなくなったメンバーなどキャラも、彼等のやりとりも笑えます。
色々な事件が次々と起こりますが、その笑いがギャップとなって泣けます。会社で何かと理不尽な扱いを受けていたり、上司や同僚や部下から詰められる事が多いなど‥弱ってるいる方がもしいらっしゃれば超おすすめの一冊です!
博士の愛した数式(小川洋子著)
事故で脳を損傷し、80分しか記憶が持たない『天才数学者』と彼を支えるために来た新しい家政婦である私、そしての阪神ファンの息子ルート君。
記憶が80分しかもたず、いつ会っても初対面の状況、普通の人ならイライラしたり、投げ出したくなるようなシチュエーション。それでも素直に天才数学者を尊敬し、生活を共にする2人と美しい数式に癒しを頂きました。泣けるというよりは良いヒューマンドラマを見た後のような読後感です。
義経じゃないほうの源平合戦(白蔵盈太著)
頼朝の弟、義経の兄である『源範頼』が主人公になっている点が斬新。
兄に怯えながら、弟の振る舞いに羨望と不安を覚える範頼に与えられた仕事は平家討伐の総大将。 徐々に距離が離れていく頼朝と義経の関係性が範頼の目を通じて描かれています。少しずつ軋轢が増していく兄と弟の間に立ち、義経が可愛くて可愛くて仕方がない(頼朝が怖くて仕方ない)その葛藤があまりにも優しい1冊です。
鎌倉うずまき案内所(青山美智子著)
「木曜日にはココアを」に感動し、こちらの作品も読了しました。
すべての話が少しずつ繋がっていく構成は「ココア」とは変わりませんが、こちらの作品は更に時間を超えた繋がりがまじりあい、やや難しかったです。
それでも最後に付けられた『年表』を見ながら、余韻を楽しめる、素敵な作品です。
最後に
刺激は少なくても、優しい小説を選ばせて頂きました。忙しい毎日ですが、少しの時間だけでも「ものがたり」の世界で優しい気持ちになりたいですよね。
本日も最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。
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